とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

ハカランダ(fueguia1833)

最後はハカランダ(Jacaranda)です。2017年9月、オイル(15ml)とパルファン(100ml)を購入。
 
100mlのものは木の箱に入っています。

 

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家の中でギターを弾いていて、窓の外にハカランダの木が見えている…そんな情景です。赤い液体のウッディな香りです。
 
今回、フエギアの「香りのプロファイリング」というものを受けてみました。店員さんからの好きな食べ物などの質問に答えていき、香水の名前も、香料も明かされないまっさらな状態で、自分にとってのベストな一本を選んでいくサービスです。カウンセリング料は無料ですが、最後に残った一本は購入する必要があります。事前予約が必要で、基本的に平日しかやっておらず、またやっていない時期もあるそうなので、まずはお店にご相談されてはと思います。
 
…もう、言葉にならない体験でした。いや、言葉で「何をやったのか」は説明できるのですが、これ以上書くと皆様の楽しみがなくなってしまうので止めておきます。ひとつだけお店にリクエストしたのは、「とてもパーソナルな、お守りのような香りが欲しい」ということでした。特別な一本を選べたと思います。
 
オイルかパルファン(ハカランダはトワレがない)を選ぶ段階で、両方試してみました。
 
フエギアのオイルはアルコールが使われていないため拡散せず超接近戦で、手の甲につけたのち、それを首筋に撫でてつけます。自分の手の甲につけたものが嗅ぎとれないぐらい、パーソナル。自分だけにしか香りがわかりません。私は常々「香水は大好きだけど他の人にアピールはしなくて良い、自分にしか香らないものはないものか」と思っていたので、これはぴったりでした。
 
オイルは買おう、でも全身にこの香りを纏い、包まれたい時もある。外に出る時に、お守りのように。
ということで、いつの間にかパルファンも購入する決心ができていました。
このハカランダは調香師のジュリアン曰く、「ウィスキーのようで、時間とともに熟成していく。まるで日本の響のよう」なのだそうで(日本のウィスキーを知っていらっしゃるなんて嬉しいですね!)、「劣化は気にしなくてよい、この先30年間は付き合える。ロットが変われば香りも変わってしまい、この香りを買えるのは『今』しかない。しかも今後大幅な値上げ(一気に5000円ぐらい上がる)が控えている」という店員さんの言葉で、100mlを購入しました。
この一期一会感がフエギアの特徴であり、良く言えば「その時にしか買えない奇跡の出会い」となりますし、逆に、人によっては「欲しい香りは常に売られていて欲しいのに…」と思うかもしれません。私はそんなに香水を消費するスピードが早くないので一期一会が合っていると感じますが、「自分にとって何十年もリピートしながら使い続ける、定番の一本」が欲しい方にとってはデメリットかもしれません。ゲランやシャネルのような、「手を伸ばせばいつでもそこにあること」の尊さを感じました。
 
で、メインの香料はというと。

日本語版公式サイトに書いてある香料(2016年のエディション)は1.Bergamot, 2.Cedar Moss, 3.Patchouliのシプレノートとなっていますが、2017年9月22日時点で英語版サイトを見ると1.Rosewood, 2.Mahogany, 3.SpruceのWoody Dryノートとなっており、店員さんも「ローズウッドが使われている」とおっしゃっていたので、おそらく英語版サイトの方が最新の情報であると思います。

フエギアはロットごとに香りが違い、それはその時収穫できる香料の量にもよるようなのですが、そもそもメインとなる3つの香料が変わることもあり(エロヒオデラソンブラなど)、おそらくハカランダについても2016年版と2017年版とでは大きく香料変更があったものと思われます。
 
30年後…私は60手前になっています。子どもはいるのか。孫はいるのか。今の職場で勤め上げるのか。転職しているのか。何かの事情で仕事を辞めているだろうか。
そして考えたのは、どんな状況でも、ハカランダに限らず、「その時までずっと側に香りがあったらいいな」と言うことでした。そしてその時までに、ハカランダがずっと側にいてくれたら。時には離れ、そしてまた出会う、友人のような存在であったなら。
この香りとの出会いは、今まで考えてもみなかった、30年後の未来を思うきっかけとなりました。
 
色々と書いてきましたが、フエギアはまさしく「沼」で、お店に行くと予期せぬ出費をする可能性がありますので、散財する覚悟で行かれるのが良いかと思います。こちらからは以上です。

ビブリオテッカデバベルとラホベンノーチェ(fueguia1833)

次に、ビブリオテッカデバベルとラホベンノーチェについてご紹介します。2017年7月購入。

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どちらもアルゼンチンの作家、ボルヘスの作品からインスピレーションを受けています。フエギアには文学作品にインスピレーションを受けて作られたものが多くありますが、その中でも特にボルヘスの作品が多いと感じます。

 
まずビブリオテッカデバベル(Biblioteca  de Babel)から。
ボルヘスの作品にある、全宇宙の書籍を納めている無限の図書館。誤植や落丁なども保存。
古書を開いた時のような、革表紙や紙、インクを思わせる香り、と公式にはありますが、私はレザーノートというよりも、特に糊の匂いを感じます。
日本語版香料は1.Cedar(英語版サイトではAustrocederusの記載), 2.Cabreuva, 3.Cinnamonとなっています。カクタスアスールとダーウィンにもシダーウッドは入っており、どこか無意識のうちに求めているんですかね…。
 
ラホベンノーチェ(La Joven Noche)はボルヘスの同名の詩からインスピレーションを受けています。闇の中、庭で行われるサルベーションの儀式。浄化されて迎える朝。香料は1.Mysore Sandalwood, 2.Nuevo Celdonia Sandalwood, 3.Spicatum Sandalwoodとなっており、白檀づくしのクリーミーな香りとなっています。「まるで羽毛のような香り」と店長さんから説明された通り、羽毛にくるまれているような気持ちになります。
 
トワレかパルファンかを選ぶ時、「冬に、温かくくるまれるような香りをください」と相談し、「パルファンの方が内にこもる感じがします。ちなみに、同じ香料(オイル)から取っているため、調香が全く違うことはありません」と説明され、秋冬向けということで、清涼感よりは内にこもるような香りが欲しいと思い、どちらもパルファンにしました。(当然、パルファンの方が高いです…)
持続時間はトワレが3時間、パルファンが6時間だそうです。
 
このラホベンノーチェ、お店でつけた時はわからなかったのですが、家に帰ってつけてみるとかなり強く感じ(バベルはまだつけやすい)、お店の人に電話で相談したところ、①ウエストの前にプッシュして、霧の中をくぐるようにするか、②鼻から遠い膝の裏につけるか を勧められました。
トワレの方が控えめに香るように感じたので、パルファンの方がずっと強いのではないか、とお聞きしたら、「どちらが強いということはなく、つける人による。中にはトワレの方が清涼感が出て強く香る人もいる。」とのことだったので、私の肌ではパルファンの方が強く出るということなのでしょう。ご相談した夏は一年の中でも香りを強く感じる時期なのだそうで、寒くなったらまた違うと思います、とのことでした。(今回9月に再訪した時も、「ラホベンノーチェは夏になると強く出る。冬はもっとクリーミーになるから、使いづらいと感じたら冬にまた使ってみてください」と言われました。そしてどの香りを強く感じるかもその人の鼻によるようで、「この香りは強い」とか「弱い」とかは言えないようです)
 
どちらも真冬にウールのコートに合わせたい香りです。冬が来るのがちょっとだけ楽しみになりました。

fueguia1833の世界観とCactus Azul&Darwinの物語

フエギアの香りの世界観と、購入した香りのバックグラウンドを書いてみます。

 
以前にもご紹介しましたが、fueguia1833はアルゼンチンのメゾン。
調香師はジュリアン・ベデルで、詩やタンゴ、パタゴニアの自然、歴史、文化、人物からインスピレーションを受けた香りを製造しています。数世紀前の南米とヨーロッパの出会いである、チャールズ・ダーウィンの航海に想いを馳せて誕生。名前は航海に同行した少女の名前と、彼らが南米を再訪した1833年に由来します。
 
私が持っているのは、カクタスアスール、ダーウィン、ビブリオテッカデバベル、ラホベンノーチェ、ハカランダ(←New!)です。
いつの間にかこんなに増えてしまいました。
日本には東京のグランハイアットにしか店舗がなく、関西では一度京都でポップアップがありましたが、とにかく地方在住者にとっては「今手に入れなければ次はいつ手に入れられるんだろう…」とついつい買ってしまう、そんなメゾンとなっています。東京在住者も地方在住者も沼にずぶずふ沈んでいる人多数。
特徴的なのは、香りを選ぶ際、ムエットではなく香りを吹き付けたフラスコから嗅ぐこと。ムエットとは異なる香り方をするのはもちろん、店員さんにいちいちムエットに吹き付けてもらう必要がなく、様々な香りを次々に手にとって試せるという良さもあります。
 
フエギアの香りを言葉で表現するのは難しいです。というのも、香料はひとつの香水につき基本3つしか明かされておらず、また香りもトップ、ミドル、ラストと変わっていくというよりは、和音のように香料が響きあうような作りになっているので、「ここではこの香りが出てきて、次にこうなって…」という説明がしづらいのです。
必要なのは、とにかく嗅いでみること。未だ経験したことの無い香りに脳が驚きます。
 
さて、まずは以前にもご紹介したカクタスアスールとダーウィンから。どちらもトワレです。2017年6月、京都のポップアップストアにて購入。よって香りのバックグラウンドなどについて、フエギアの店員さんの説明は受けられませんでした(そのセレクトショップの店員さんからは、主要な3つの香料を教えてもらいました)。
 
カクタスアスールは、隣国ウルグアイの海辺の情景がテーマとなっています。ウルグアイはアルゼンチンの多くの人がヴァカンスを過ごす場所なのだそうで、ジュリアンも海辺に別荘を持っています。別荘の写真はジュリアンのInstagramで見ることができます。
別荘からは海が見えて、サボテンの花も咲いていて、草原からはミントの香りがする…そんな光景です。

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香料はハイノート、ミディアムノート、ローノートの順に、1.Cactus Flower 2.Cedar Wood 3.Nanah mintとなっています。
ハイノートは最も長く残り、美しい余韻を残すもの。ミディアムノートは香りに個性を与え、その香水のテーマを表現するもの。ローノートは、つけた瞬間の香りで、第一印象を左右します。
海辺の情景だから、マリンノートが使われているのではないか?実はソルティーなのではないか?と聞いてみたら、マリンノートは合成香料であり、全て天然香料で作っているフエギアでは使っていないとのことでした。
 
ダーウィンは進化論で有名な人物で、彼の航海がテーマとなっており、その船室の香りをイメージしたものとなっています。大海原を航海していくような広がりのある香りであり、私は本を読む時につけたくなります。知の海に漕ぎ出せるような気になるのです。

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香料は1.Cedar, 2.Vetiverm, 3.Grapefruitとなっています。こちらも、マリンノートは使われていません。
 
ちなみに、カクタスアスールもダーウィンも夏の方がウッディノートが強く出るとのことですので、ご参考まで。
 
次の記事にて、ビブリオテッカデバベルとラホベンノーチェをご紹介します。

ヴィトリオールドゥイエ(セルジュ・ルタンス)

Twitterのフォロワーさんのご厚意で我が家にお迎えしました。「最高級のカーネーション」です。

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直訳だと「硫酸のカーネーション」という意味のようです。もっと辛辣なイメージなのでしょうか。
香料はカイエンペッパー、クローブカーネーション、ウォールフラワー(ニオイアラセイトウ)。
 
最初は特徴的な酸味がスパイスとともに立ち上がり、やがて甘みが出てきます。上品で紳士な、冷たいフローラルです。
 
日本語版サイトには、英国紳士、とりわけ19世紀のダンディズムのイメージとあります。
紳士が一輪の白いカーネーションをシルクの上着の襟元のボタンホールに刺している…そんな情景です。
 
一方、英語版サイトを見るとジキル博士が出てきます。ルタンスは日本語版サイトと英語版サイトとでかなり雰囲気が異なり、後者の方が何故かテンションが高いです。
 
「何ですか、ジキル博士?」
「よくお聞き、全部教えてあげよう。カーネーションと十分な量のカイエンペッパーを用意するんだ。クローブの爪を使ってしっかりと中心に置く。最後に暴力を振るう前に、ニオイアラセイトウで少しパンチを効かせるんだ。」
 
Violenceを暴力と訳していいのかわかりませんが、大意はこんな感じです。
 
私はフローラルがあまり得意ではないのですが(店頭で試しても強く惹かれるものが少ないです)、こちらはフローラルによくあるような華やかさはなく、あくまで上品に冷たく香り、とても惹かれます。
 
こんな素敵な最高級のカーネーションですが、廃盤になるという記事がネットに書かれています。しかも廃盤になるのはこれだけではなく、10種類もあるというのです。
 
廃盤になるのは次の10種類。
アラビ
バドゥソワ
サマジェステラローズ
ラニュイ
グリクレール
ジュドポー
ダンブロン
シダー
セルジュノワール
フィーユアンエギュイユ
ヴィトリオールドゥイエ←最高級のカーネーション
 
Twitterでの私のフォロワーさんの間には衝撃が走り、特にアラニュイ(ジャスミンの香り)の廃盤はショッキングなものでした。
公式サイトでの通知ではないため、確かな情報とは言えないのですが、それでもびっくりしてしまいます。
 
ご縁で出会うことができたこの香り。大切に使いたいと思います。

ミュール エ ムスク(ラルチザン パフューム)

「ムスクってどんな香りなんだろう?」

フレグランスを嗅ぎ始めてからの疑問でした。

これまでブログに書いてきたのは何なんだ、という話ですが…特に最後の方に感じる、もわっとした柔らかい香りかな?とわかったつもりで(笑)書いていました。

 

フレグランスのラストノートに用いられることが非常に多いムスク。かなりの割合で入っている気がします。

ムスクは麝香(ジャコウ)とも呼ばれ、もともとオスのジャコウジカの分泌質から取られる香料です。現在はシカの保護のためほとんどが合成香料であると聞きます。

石鹸の匂いは「ムスク+フローラル(薔薇など)」なのだそうです。であれば、石鹸のような匂いなのでしょうか。

 

そんな疑問を持ちながら、ラルチザン パフュームのベストセラーの香り、ミュール エ ムスク(黒いちごとムスク)を嗅いでみました。

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フレグランスファミリー :フレッシュ
(フレッシュ フルーティ ムスキー)
ヘッドノート : レモン、オレンジ、バジル、ラベンダー
ハートノート : ブラックベリージャスミン
ベースノート : ムスク、パチュリ、オークモス
調香師 : ジャン・ラポルト

 

「ラルチザンと言えばこの香りと言われている」と店員さんに紹介していただきました。
いただいたパンフレットにも、まるまる1ページが割かれており、ブランドにとって特別な存在であることがうかがえます。
公式によれば、「まるで晴れた日にブラックベリー摘みをした思い出のような香り」とのことです。

トップはかなりジューシー。「柑橘系~!」というほどではないのですが、レモンやオレンジが楽しく踊ります。そこにベリーのような、これもジューシーな香りが加わってきます。これがおそらく黒いちごなのでしょう。


とはいえ、私はあまり黒いちごになじみがありません。

香料にブラックベリーとあるけど、どんなものなんだろう?

調べてみました。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC

クロイチゴブラックラズベリー英語版はいずれもラズベリーであり、(広義でも)ブラックベリーには含まれない」

…和訳〜〜!

google翻訳でmureを引いてみてもBlackBerryと出てきます。

…和訳〜〜!(しつこい


しばらくすると、ベリーの前に、もわっとした柔らかい匂いが出てきます。これがきっと、ムスクなのでしょう。


このフレグランスのおかげで、「ムスクってだいたいこんな匂いなんだな」というのがわかりました。

 

ちなみに、「ミュール エ ムスク エクストリーム」という香りも別に存在し、公式曰く「『ミュール エ ムスク オードトワレ』のブラックベリーのノートに、カシスのフルーティで深い香りをブレンド」したもの、とのことです。

だいぶ香料が異なるので、備忘録がてら書いておきます。

フレグランスファミリー :フレッシュ
(フルーティー ムスキー)
ヘッドノート :ベルガモット、カシスのつぼみ、プチグレン
ハートノート : ブラックベリー、レッドベリー、オレンジブロッサム
ベースノート : ムスク、パチュリ、オークモス
調香師 :カリーヌ・ドゥブルイユ

こちらもいつか試香したいものです!

アクア セレスティア(メゾン フランシス クルジャン)

サンプルをゲットしました。

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アクア セレスティアとは「天空の水」という意味。
アクア ヴィタエや、ベストセラーとなっているアクア ユニヴェルサリスなどの「アクアシリーズ」最新作です。

『空の青と海の青を繋ぐ、天国のような香り』『ライム、クールミント、ブラックカラントの天国のようなフレッシュさがプロヴァンスミモザによって和らげられている。ムスクの香りの、天空のような逃避行。』
とあります(大意)。
確かに「天空の水」かもしれない。フレッシュさと壮大さが同居している。
オフィスに良いのではないでしょうか。

 

ちなみに、こちらの記事が最高ですので、是非。 

 

www.afpbb.com

もうこの記事で全部説明されてしまっているんですが(笑)、
全体として少しパウダリーに感じます。記事によれば、これはミモザによるもの。ライムやミントがフレッシュなのですが、そこに薄いヴェールがかけられている感じです。それが「空の青と海の青を繋いでいる感覚」を作り上げているような気がします。
無限の広がりを感じさせるフレグランスです。

 

 

香り立ちはあまり強くないです。とても静かな香りだと思います。

フレッシュさはありますが、壮大さもあるので、元気が出てくる!というよりは、自然に肩の力を抜いて安らげるような香りだと思います。



…オフィスに良いのではないでしょうか!(2回目)

ローセルジュルタンス(セルジュ・ルタンス)

ドボーン(沼に落ちた音)

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ルタンス先生…!

 

セルジュ・ルタンスと言えば、独自の世界観を持つことで知られるブランド。
公式ホームページを見ていただければわかるとおり、かなり独特のヴィジュアルです。

セルジュ・ルタンス

厳しい直線、影を感じさせる色。特徴的なのは黒色だと思います。
セルジュ・ルタンスはクリスチャン・ディオール資生堂で様々な仕事をした人物。フランスの人間国宝(※フランス共和国文化芸術勲章コマンドゥール受章)とも聞きました。

ネットで画像検索していただくと、生気を全く感じさせない白い肌のモデルたちの写真が出てくると思います。
あまり柔らかさや優しさは感じません(笑)
私は「ちょっと怖いかも…」と、近寄りがたい雰囲気を感じていました。

 

しかし、私のtwitterのフォロワーさんたちにはルタンスのファンが多く、何か魅力があるのだろう、と気になってはいました。アットコスメを見ると賛否両論。ネットを色々見ていると「ルタンスはみんな影のある香り」「濃厚な香り」等々、様々なことが書かれていました。

…気になる。

気が付けば足がルクアイーレ8階(伊勢丹)のフレグランス売り場へと向いていました。

***

 

前置きが長くなりました。

 

セルジュ・ルタンスの水
それは、「清潔」なイメージ。「清潔」さとはラグジュアリーの原点。
フレグランス本来の意味。
まるでおろしたての白いワイシャツを着るような、喜びと気持ち良さが実感できる香り。
フレッシュ感が持続する、それでいてエレガントな香り。
今までのラインとは異なる観念で作られた新しい価値観の香り。

(公式ホームページより)

 

「ロー」(フランス語で「水」)と名の付く香水は色々あります。
ディプティックの「ロー」(これとはまた別の、「ロンブルダンロー」もありますね)や、ラルチザンのロードラルチザン。そしてこの、ローセルジュルタンス。
「水」と銘打つからには、何か作り手の特別な想いが込められているのだろう、と推測します。

 

公式ホームページでは香料は明かされていませんが、お店にあった説明を読んだところ、マグノリアやクラリセージが使われているとのこと。調べたところでは、合成香料のアルデハイドやオゾンノートが使われているようです。

 

こちらのサイト↓によれば、

香調・香料成分まとめ | 気楽に行こう。 - 楽天ブログ

オゾンノートとは「独特のツンとしたガスのような香りが特徴。空気のようなライトさと透明感で人気」とのこと。

その時々で感じ方は変わるのですが、涼感を強く感じる時に私が思い起こすのは、猛暑の夏にガンガンに冷房が効いた室内に入った時に感じる、あの空気感。

これがオゾンノートなのでしょうか。鼻梁から喉の奥まで、スーッとした空気が入っていきます。

…なんというか、かなりの清涼感です(※時により、あまり感じないこともあります)。

フレッシュはフレッシュなのですが、冷たい、無機質なイメージもあります。

 

うーん。ヴィジュアルで見るイメージのとおり、厳しい香りなのだろうか。
最初は少しびくびくしました。

 

それがつけていると、次第に清涼感がフェードアウトしていき、丸みがでてくるのです。温もりすら感じます。
ムエットだと、冷たい香りのままなのに。

フレグランスをつけていて、自分に体温があることを実感したのは、初めてでした。

 

全体として静かな作品だと思います。トップも、マグノリアの柔らかさが入っているため、金属のような香りではありません(この柔らかさはトップが終わっても持続します)。
外側に強く主張するというよりは、(清涼感含め)肌の上を沿うように香っていく。そんな香りだと感じました。

 

 

 

…ところで、梅田のルクアイーレ8階のメンズフレグランス売り場はとても良いです。メンズのみならずユニセックスも(場合によってはウィメンズ寄りと思われるものも)置いてあります。

何よりも良いのは、人が少なめで、高級感溢れる店内でゆっくりと香水を見られること。
他の百貨店のフレグランスコーナーだと女性客が中心で、ひっきりなしにお客さんが来ていて(私含めですが)、様々な香水の匂いで充満していますが、こちらはそれに比べるとフラットな環境で香りを見られるように思います。

セルジュ・ルタンス、ヒーリーやイルプロフォーモなどのレアなフレグランスを見られるのも魅力です。