BRUMA(CIRE TRUDON)
CIRE TRUDONは1643年創業のフランスのキャンドルメーカーです。この度著名な調香師Antoine Li、Lyn Harris、Yann Vasnierを迎え、2017年に香水のコレクションTRUDONを発表しました(18世紀にも香水を売っていた時期はあったのだとか)。
クリエイティブディレクターが各調香師に香りのコンセプトを伝える際には、まず彼らをギャラリーや美術館などに連れて行き、光や音楽などの演出でリラックスしてもらってから、最後に香りの物語を聞いてもらったのだそうです。
BRUMA(=ラテン語で「至点」)に関しては、狩猟自然博物館にAntoine Liを連れて行き、数々の剥製、歴史的美術品、現代アートの置かれている空間でカーテンを全て下ろし、そこから僅かな光だけが漏れるようにしたと言います。
(クリエイティブディレクターへのインタビュー記事より)
http://openers.jp/article/1582504
物語は、冬至の夜に高貴な淑女が寝室を飛び出し、まだ知らない自分自身を見つけるため、馬に乗って夜の森に行く、というもの。
トップ:ブラックペッパー、ラベンダー、ガルバナム
ミドル:ヴァイオレット、パープルピオニー、ジャスミンサンバック
ラスト:ラブダナム、ハイチ産ベチバー、トンカビーン
全体として、(上には書いていませんが)イリスやレザーがメインとなって香り、終始トンカビーンの甘露とベチバーの土っぽさが下支えしています。香調としてはフローラル・レザリーでしょうか。ここでのレザーはスウェードを思わせる軽めのもので、ハードな路線には転ばないため、アニマリックが苦手な方でもつけやすいと思います。主人公の女性のフェミニティを表現したというだけあって、どちらかと言えば女性向けです。
濃度はEDP。拡散性は極めて低めに感じます。
つけた瞬間から思ったのは、「puredistanceのWHITEの双子の姉妹」。明かされている香料で被っているのはイリス、ハイチ産ベチバー、トンカビーンのみですが、印象が良く似ています。産みの親(調香師)が同じだからでしょうか。
WHITE(白と金色の夢)がPVなどから見るとどちらかといえば明るい昼間をイメージさせるのに対して、BRUMAは月が冷たく輝く冬至の夜がテーマとなっている(とはいえ、「太陽と本質的に繋がっている」と英語版公式サイトにはありますが)ものの、冷涼感はありません。どちらも身体を温かく、柔らかく包み込んでくれて、芳しい香りの雲に身を委ねることができます。