ミストラル・パチュリ(アトリエ・コロン)
サンプルでいただきました。
タイプ:スパイシー マリン
【トップ】フロリダのポメロ、 マダガスカルのブラックペッパー、 中国のスターアニス
【ミドル】モロッコのイリス ソマリアのインセンス、 エジプトのゼラニウム
【ラスト】インドネシアのパチュリ、 ラオスのベンゾイン、 ハイチのベチバー
柑橘とパチュリの幸福なマリアージュ(ってよく食べ物を説明する時に使われる表現ですよね)。
パチュリと言えば、「墨汁の匂い」とよく表現されるようです。日本人には親しみやすい香りなのかもしれません。お店の人曰く、「全体を落ち着かせる働き」があります。音楽で言えば、私は低音をイメージします。下から優しく支えるような音。
最初はポメログレープフルーツと潮の香り。マリンに分類されるのはこのトップゆえかと思います。バックでパチュリが低音で鳴っています。
やがてパチュリがメインになります。おおらかな響き。イリスやゼラニウムのためか、フローラルのやわらかな含みがあります。
その後、ウッディーが少しずつ前に出てきます。インセンス(お香)とベンゾイン(アンソクコウノキの樹木に傷をつけてそこからにじみ出て固化した樹脂のこと)の働きでしょうか。…と思ったら、ウッディーが強くなる前にデクレッシェンドで香り全体が柔らかく消えていきます。
パチュリの香りは正直初めてだったのですが、とても好きになりました。墨汁の匂い…落ち着きます…。
マリン系も苦手だと思っていたのに、これは心地良く感じます。まさしく海辺の風。マリン系に限らず、他の香調に対しても、自分の中で「これは苦手」と固定観念を作り上げてしまっている可能性があり、食わず嫌い(嗅がず嫌い?)をせずに色々試してみてもいいのかもしれない、と感じました。
私の中でパチュリは音、それも低音のイメージがあったため、今回は少し音楽めいた書き方をしてみました。意味不明でわかりにくかったらすみません。
では、また。
Cactus Azul(カクタスアスール)とDarwin(ダーウィン)(FUEGUIA1833)
南米アルゼンチンのフレグランスメゾン、フエギア1833。
詩やタンゴ、また調香師の人生に影響を与えたパタゴニアの大自然や歴史、文化、人物などがインスピレーションのもととなっています。
個性的で素晴らしい香りばかりとの噂は聞きつつも、日本では東京のフラッグシップストアでしか手に入らないので、関西在住の私としてはずっと憧れのメゾンでした。
それが今回、6月末まで京都の「セレクトショップ京」でポップアップストアをやっているというではありませんか!
というわけで、行ってきました。
東京の店舗同様、各香水瓶の上にフラスコが置いてあり、フラスコの中を嗅ぐことでそれぞれの香りを確かめることができます。
全部気になってしまい、店頭に置いてある27種類のオードトワレを片っ端から試していきました(笑)
確かに、どれも独特で個性的。なのにとっつきづらさはありません。どれも素晴らしいとしか言いようがないのです。
全体的に、甘味に特徴があるように感じました。いわゆる「甘い香り」が多いというわけではありません。そうではなく、それぞれの香りが持つ自然でさりげない甘みに、共通するカラーがある感じ。これがフエギアの色なのかしら、と思いました。
グリーンな香りにも特徴があります。ミントやバジルなどは他のメゾンも出しているでしょうが、サボテンの匂い、草原の匂いや干し草の匂いなどはあるでしょうか、いやきっと無い(反語)。
まずは27種類全て嗅ぎ、その中でも気になるものを選び出し、それらをまた嗅いで買うものを絞っていきました。
購入したのは、Cactus AzulとDarwinです。
Cactus Azulはその名のとおりサボテンがテーマです。
・タイプ:Green
・香料:1.Cactus Flower,2.Cedar,3.Nanah Mint
Darwinは進化論の人がテーマ(多分)。
・タイプ:Wood,Spicy
・香料:1.Cedar,2.Vetiverm,3.Grapefruit
「フローラルで良いのはないかしら。グリーンとかウッディってそんなに得意じゃないのよね…」と思って行ったのに、最終的にこの2つになりました。他の香りもみな独特で個性的なのですが(フローラルも素敵なものばかりです!)、これらの香りは特に「フエギアでないと無い香りではないか」だと感じたからです(と、たいして知識もないフレグランス初心者が言ってみる)。
これらの香りの素晴らしさを皆様にお伝えしたいのですが、正直全く言葉が出てきません。
「どこかで嗅いだような香り」では全くないからです。
あえて書けることは、
Cactus Azulはトップがものすごく良いです。良いんですが、表現する言葉が見当たりません…。ミントはあまり主張しません。ミドルからシダーのノートが出てきます。私の肌では最高にシダー!という感じになります。
Darwinは最初はグレープフルーツ?と思いましたが、その後出てくるウッディが素晴らしいのです。乾いた木ではなく、独特の温かみがあるというか。どこかフルーティーですらある。ほっとして、心から安心できる香りです。私の肌に乗せると、スパイシーという印象は受けません。
いずれにせよ、「こんなグリーンやウッディな香りがあるなんて!」と目を見開く思いでした。
大切に大切に使いたいと思います。
グラン・ネロリ(アトリエ・コロン)
【トップ】モロッコのネロリ、シチリアのベルガモット、パラグアイのプチグレン
苔清水(パルファン サトリ)
サンプル使用です。
http://parfum-satori.com/jp/collection/kokeshimizu.html
樹間を流れる清涼な水、石につく苔、若芽をテーマにした香り。
トップはシトラスから始まり、ミドルでグリーンなノート(ミュゲ、ジャスミン)に移っていき、最後はムスクとモス(苔)の香りへ。調べてみると、本当に苔から香料が取れるのですね。奥が深いです。
最初はシトラスを感じるのですが、その後グリーンなノートが出てくると「これは…まさしく清流の香りだ‼︎」と衝撃を受けます。苔の生えた、透明な清流の香り。
春のみずみずしさを表現しているとのことで、春の森の中で清らかな水に出会ったような気持ちになります。
MOTHER ROAD 66 (パルファン サトリ)
トップ:レモン、ベルガモット、マンダリン、ガルバナム、ブラックペッパー
satori(パルファン サトリ)
最高の沈香木・伽羅の香りが香炉から立ち上る様を表現したフレグランス。
パルファン サトリの調香師、大沢さとりさんの名前を冠しています。
http://parfum-satori.com/jp/collection/satori.html
ミドル:シナモン、クローブ、カカオ、バニラ
ラスト:オリバナム、サンダルウッド、オークモス
辛・苦・甘・酸・鹹の五味を持つと言われる伽羅の香りが表現されています。
(実際の伽羅は香料として使用されていません)
トップノートを嗅いですぐ、私は「お寺の香り」をイメージしました。
しんとしたお堂の中で香る清冽な匂い。その中で手を合わせる。あの清々しい雰囲気。
その後に、スパイスが複雑に絡み合うミドルがやってきます。とても心地良く、温かみのある香りです。ラストはとても柔らかく終わります。
ちょっと独特な香りです。お寺の香りがお好きな方はハマるかもしれません。
エンプレッサ、ラヴァンティウム(ペンハリガン)
ペンハリガンのTRADE ROUTES COLLECTIONのうち、2つを試香してきました。
TRADE ROUTES COLLECTION | Penhaligon's | ペンハリガン公式オンラインストア
もうひとつのロタール(紅茶を運ぶ帆船のイメージ)は試したことがあり、今回はエンプレッサとラヴァンティウムです。
1.エンプレッサ(EMPRESSA)
インスピレーションは、世界の海洋貿易の中心として栄華を極めた19世紀末のロンドンから。え…女帝?!(英語力なしのため不明)という感じですが、実際は上流階級の女性たちのために運ばれたシルク製品やパールをイメージ。ジューシーでなめらかです。
トップ:ブラッドオレンジ、ベルガモット、マンダリン
ハート:ピーチ、カシス、デューベリー(ブラックベリーの一種)、ローズ、ネロリ、ゼラニウム、カルダモン、ピンクペッパー、ブラックペッパー
ベース:バニラ、ココア、フランキンセンス、アンバー、ムスク、ウッズ、パチュリ、サンダルウッド、マルトール
…意外と使いやすいぞ?!というのが、正直な感想。
2.ラヴァンティウム(LEVANTIUM)
埠頭に並ぶウェアハウスを埋め尽くしたオリエンタルな宝の山がモチーフ。
まずラムを思わせるダヴァナ(ヨモギ)と、禁断の酒アブサンから始まり、スパイシーフローラルへと移っていく。その後は贅沢なウッディノートへ。
トップ:ベルガモット、ダヴァナ、サフラン、アブサン
ハート:ローズ、ジャスミン、ヴァイオレット、クローズ、カルダモン、イランイラン、ピーチ
ベース:アンバー、ミルラ、ガイアックウッド、サンダルウッド、シダーウッド、ウード、パチュリ、ムスク、マルトール、バニラ
お店の方には、「お香の香り」と言われました。確かに、贅沢な木の香りがします。特に私が気づいたのはウードでしょうか。ちょっと独特の香りです。
なお、本国イギリスではTRADE ROUTES COLLECTIONには日本で売られていないものもいくつかあり(エジプト、モロッコ、トルコ…)、最近では2つ新作が出ている模様。Agarbathi(インドのお寺の香り)とPaithani(これまたインド。スパイス、ローズ、ミルキーノート)です。
ペンハリガンにはマラバー(東インドのスパイスルートを巡る旅をイメージ。紅茶の香り)やヴァーラ(ジョードプルの街の思い出)という、インドをイメージした香りが既に複数あります。純粋にインドが好きなのか、オリエンタリズムなのか、それとも統治していた時代へのノスタルジーなのか。本当のところはわかりませんが、ペンハリガンはインドに何か特別な思い入れがあるのかもしれません。
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