とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

目次

この度は弊ブログにようこそお越しくださいました。Helenと申します。

このブログでは主に香水レビューを書いております。記事はメゾンごとにカテゴリーを分けており、不格好ではありますが、この記事を目次として使っていただければと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。

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タンブクトゥ(ラルチザン パフューム)

西アフリカのマリに伝わる“恋人を虜にする香料”からインスパイアされた香り。アフリカ原産の香料、トロピカルフラワー(カロカロンデ)やパピルスウッドが使われています。

名前はマリ共和国内のニジェール川中流域、川の湾曲部に位置する砂漠の民トゥアレグ族の都市から。(そう言えばイルプロフーモにもトゥアレグという名前の香水がありましたね。)

フレグランスファミリー / ウッディ (ウッディ スパイシー フローラル)
ヘッドノート / ピンクペッパー、カルダモン、グリーンマンゴー
ハートノート / カロカロンデ、インセンス、パピルスウッド
ベースノート / ベチバー、パチュリ、ミルラ、ベンゾイン
調香師 / ベルトラン・ドゥショフール

つけた瞬間、これまで嗅いだことの無い香りに衝撃を受けます。トップはかなりスモーキー。グリーンマンゴーが一瞬広がったかと思うと、すぐにカルダモンが視界を覆い尽くします。フルーティーというよりはかなり固さのある香りで、ベチバー、パチュリが骨となって全体を支えており、インセンスがその骨とともに立ち上ります。その後控えめながらもほんの少しだけ華やぎが出てくるのは、カロカロンデの花でしょうか。どこか古い紙を思わせる香りも出てきて、これがパピルスウッドなのかなと思います。トップに比べると、もう少しひらけた場所に出たような印象を受けます。
そこから少し甘みのある樹脂の香りへ。温もりがあり、ほっとするような美しいドライダウンです。

「マリの恋人を虜にする香料」がモチーフのこの香り。最初に聞いた時は「エキゾチズム全開のメルヘンなコンセプトかよ」と思ってしまいましたが、いざ肌にのせてみると確かに惚れ薬だと納得できますーそれも、異性に対してではなく、変わった香りが大好きなフレグランスラバーへの。このスモーキーで甘さの少ない香りは心を捉えて離さない。
これをつけても、他人への「良い匂い」アピールには全くなりません。ただただ、自分が自分らしくあるために、そして過酷な現実に向き合うために纏いたい香りです。

ミュール エ ムスク エクストリーム(ラルチザン パフューム)

1978年、ラルチザンパフュームはミュールエムスク(EDT)を発表。その後1993年に、ミュールエムスク エクストリーム(EDP)が発表されました。

同じ名前はついていても、単に濃度が違うだけではなく、香料がかなり異なり、また調香師も違っています。

 

EDT:

フレグランスファミリー / フレッシュ (フレッシュ フルーティ ムスキー)

ヘッドノート / レモン、オレンジ、バジル、ラベンダー

ハートノート / ブラックベリージャスミン

ベースノート / ムスク、パチュリ、オークモス

調香師 / ジャン・ラポルト

 

EDP:

フレグランスファミリー / フレッシュ (フルーティー ムスキー)

ヘッドノート / ベルガモット、カシスのつぼみ、プチグレン

ハートノート / ブラックベリー、レッドベリー、オレンジブロッサム

ベースノート / ムスク、パチュリ、オークモス

調香師 / カリーヌ・ドゥブルイユ

EDTの所感については過去記事にまとめています。

ミュール エ ムスク(ラルチザン パフューム) - とある愛香家の日記

 

あくまで比較論ですが、EDTの方がさっぱりしていて石鹸のような淡い香りがし、親しみやすい印象です。

 

一方エクストリームの方はトップからギュッとジューシーなベリーが香り立ち、いきなりセンシュアリティ全開。お子様はご遠慮ください、と言われているような気分。トップも柑橘系のイメージはなく、ベルガモットやプチグレンは全て主役のベリーを引き立てる役に徹しています。その下から徐々に出てくるムスク。しかしこのムスクからは石鹸っぽさは感じず、またベリーに打ち勝つこともありません。

妖艶なだけの香水かと思いきや、意外や意外、どこか固さのある香りが出て来ます。これはパチュリとオークモスの仕業でしょうか。芯が一本通っていて香りに骨があり、それがこの香水を単なるセクシー系では終わらせていないように思います。その骨とベリーを、ムスクがむわっと包み、まとめています。…が、ムスクはあくまで脇役、果汁が滴り落ちそうなくらいジューシーなベリーが主役であることに変わりはありません。


軽く親しみやすいEDTに対して、エクストリームは猛烈な艶があり「大人」を感じさせ、どこか芸術品を思わせるところがあります。服装としては、モードなファッションをされる方に似合いそうです。


成人指定のこの香り、大人の色香にご用心!

アンボワバニール(セルジュ・ルタンス)

「バニラの木」

 

私の人生で出会った中で一番お洒落な中年の男性が、「冬はルタンスのアンボワバニールをつける」とおっしゃっていました。

丸眼鏡、モードなヘアスタイル、チェックのブレザー、そして腕につけた趣味の良い時計。マスキュリンな香りを選ばず、あえてアンボワバニールをつける。ああこの方がこの香りをつけるのは本当にハマるな、と思いました。

 

アステカ帝国の財宝のひとつ、バニラ。
その純粋にして高貴、そして甘美なバニラの芳香は、
ひとを魅了し、とりこにし、
永遠に自分だけのものにしたいという欲望をかきたてる。
その宝物のようなバニラの魅力を、白檀の箱にそっと詰めて。」

(公式サイトより)

 

メキシカンブラックバニラのエッセンス、白檀、甘草、ココナッツミルク

 

つけた瞬間、クレームブリュレにたっぷりブランデーをかけたような匂いがぶわっと広がります。

その後、ほどなくして白檀が出てくるものの、最初はココナッツミルクのベールがかけられており、そのベール越しに木を触っているような気持ちになります。その後ベールは剥がされ、直接木を触りながら鼻を押し当て、材木系の香りを嗅いでいるような感覚へと変わります。

 

ネットでクチコミを読んでいると、「家でつける」「寝る時につける」という方が非常に多い(というかそういう人しかいない)のですが、私にとってこの香水は「背中を押してくれる香り」であり、だからこそ外出時につけたい。オフィスにつけて行けるようなタイプではなく、完全にプライベート向けです。

わりと濃厚なので、下半身に控えめにつけて全身を包み込むようにするのがお勧め。

(なお、ルタンスの香水は強いのか、それとも拡散性が高いのか、はたまた個性的すぎて鼻につきやすいのか、アンボワバニールもロルフェリンも家族には不評でした。残念)

 

うんと寒い冬の日、アンボワバニールを纏い、ウールのコートを着て、街を歩く。バニラとサンダルウッドの香りに温かくくるまれ、ひとり愉悦に浸るのが良いように思います。

AMBRETTE9(LE LABO)

自然界に存在する植物性ムスク、アンブレットグレインがメインの香り。

 

「ママとベイビーへのスペシャルなフレグランス。」

 

これは各都市限定シティエクスクルーシブではなく通常ラインでの取り扱いです。


林檎と洋梨(どちらも実ではなく皮)の匂いが広がり、赤ちゃんを思わせる匂いーあの、限りなくやわらかい、骨も固まっていない感じのーとともに、ほのかにほのかに香ります。

ベイビーフォーミュラって何のこっちゃ、と思っていましたが嗅いでみて納得。そういえば子どもを持った知人が、赤ちゃんは良い匂いがする、と言っていたっけ。

 

あえて【香り】ではなく【匂い】と書くのは、人肌のようだから。香り立ちが大変控えめなこともあって、スキンフレグランスの部類に入ると思います。

構成の妙に唸るというよりは、ずっと「良い匂い」があまり変化せずに続き、穏やかに消えていく感じです。

 

ほにゃほにゃした匂いのため、これをつけて外界に出ていくには(私の場合)気合いが入りません。ふにゃふにゃになります。どちらかと言えばインドア向けかもしれません。

 

スキンフレグランスの部類に入ると書きましたが、他の人から香ってくるのは良いとしても、では自分でつけるかとなると、意外と人を選ぶように思います。というのも、赤ちゃんの匂いを想起させるところがありますので、子ども(特に赤ちゃん)のいる家の匂いが好きでない人は、避けた方がいいかもしれません。

 

逆に言えば赤ちゃんの匂いが大好きな人にとっては堪らないフレグランスである可能性があります。可能性があります、というのは私が子どもを産んだことがないからで、何のアテにもならないかもしれませんが、何卒ご容赦ください。こんなのばっかりですみません。

アビルージュ EDT(ゲラン)

1965年発表。

世界初の男性向けオリエンタルフレグランス。4代目調香師、ジャン・ポール・ゲランは乗馬が好きだったといいます。アビルージュとは騎手が纏う赤いジャケットを意味するそうです。馬術の優美さに捧げられた香り。

 

まずギュッとシトラスが弾けます。ビターオレンジと、ライム、そしてゲルリナーデの香料のひとつ、ベルガモット。背後にごくわずかなバニラの気配。それがこのトップを「単なる柑橘系」に終わらせていないように思います。

 

そこからバジルとパチュリのハーバルな香りへと移り、その下から徐々に出てくるのはレザー。しかしワイルドに前に出すぎることはありません。クリーミィな、甘さのない滑らかなバニラがレザーをくるんでおり、非常に上品です。ベースノートにはベンゾインも使われているとのこと、全体として深みがあるラストとなっています。

香り立ちも穏やかで、ふんわりと香ります。

 

「洗練された教養を兼ね備えつつ、すべてに挑戦するダンディな男性」に向けた香りとのことですが、女性の愛用者も多いと聞きます。

 

ちなみに、私はゲランの「角瓶」が好きです。ゲランオム、ランスタンドゲランプールオム、ベチバー、アビルージュ、エリタージュと、メンズライン5つに使われているボトルの形。幾何学的なフォルムが堪りません。

キャップは木製とのこと、ますます惚れ惚れしちゃいます。


(公式サイトのアビルージュのページ。ボトルの写真も載ってます):

MUSC25(LE LABO)

ルラボは2006年創業のニューヨークのメゾンで、このブログ記事を書くためにどんな来歴があるのか調べようとしたところ、公式サイトのABOUT USを読んでも「創業者について語ることは何もない、あるのはただルラボという名前だけ」と潔く書いてあります。

その代わり自分達の信念(マニフェスト)をたくさん掲げていますが、最後のマニフェストが”We believe explanation kills art”. 「ーだから上に書いてあることは全部忘れろ!」。拙いですが私なりにマニフェストを超要約すると「ニューヨークから魂込めて作ってます」になります。

ご興味のある方はリンクからどうぞ。(英語です)

https://www.lelabofragrances.jp/about-us/

 

世界の各都市でしか基本的には手に入らないのが、シティエクスクルーシブコレクション。年に1回程度、期間限定で日本でも全種類揃うと聞きましたが、ロサンゼルスの香りがムスク25です。後ろの数字は使われている香料の数を指します。

 

公式サイトの説明は意味がわからない非常に難解なのですが、ムスク25についてまとめると、「天使」「白く強く輝きすぎてこの香りに近づくためには影をまとわなければならない」、「天国のように真っ白」しかし「中心軸は悪魔のように非常に暗い」。

 

「ゆえにその暗さはあなたの中に潜む罪にいかりを降ろした悪魔の目を覚まさせ、その中にあるアニマルノートはセンシュアル、セクシュアル、そして廃退的なもの。」(この部分は原文ママ)

―要するに、天使かつ悪魔のような2面性のある香りだと言いたいのだと思います(雑)。

 

何故ロサンゼルスなのかという点については「性別をもたない天使達は香りの世界へ誘惑されたから。」ということで、おそらく都市名にあるAngeles(天使)にかけているのだろうと思われます。

 

※ちなみにルラボの日本語版サイトは思いっきり英語からの直訳感丸出し、ある意味気持ちが良いほどで、自然な日本語に洗練させるつもりなどさらさら無いという強い意志が感じられます(※褒めてます)。とはいえ日本語訳を見ても「これ、原文も意味がわからない難解なのだろうな」と推察せざるを得ないところがあります…が、きっとそれが良さなのでしょう。That’s the beauty!!

(すみません、アメリカ版サイトを見ましたがムスク25が見当たりませんでした。探し方が悪いのでしょうか)

 

明かされている香料はアルデヒド、ベチバー、アンバーグリス、ムスク、シベット。

 

ムスクはジャコウジカ、シベットはジャコウネコ、アンバーグリスはクジラから取られる香料。最近は動物保護の観点からムスクとアンバーグリスは合成香料に置き換わっているとよく聞くので、シベットもそうかもしれません。ルラボ自体、動物実験反対を唱えてますし(と、言いつつ全部天然香料だったらどうしよう)。ひとつ言えるのはアニマリックな香料がたくさん使われているということでしょうか。

 

いざつけてみると、まずアルデヒドがキーンと鳴ります。なるほど、これが「天国のように、真っ白に力強く光り輝く」ということか…。思い浮かぶ言葉は「無慈悲」。緊張感があり、リラックス要素は皆無です。

アルデヒドの高音が収まっていくと、白い大理石を触っているような、冷たくも滑らかな印象を受ける香りに変化します。

その後、次第に丸みが出てきて、天使の真っ白な羽根の下にいるような感覚を覚える、やわらかな香りへと移ろいます。ドライダウンしていくにつれ、ふわふわの綿に触っているような感覚に。

全体として、香りからイメージされる色は一貫して「白」なのですが、その質感がドラマティックに変わっていくのを楽しめるフレグランスだと思います。

 

私自身、キリスト教に関する知識が非常に浅いため、メゾンの意図を的確に捉えられているかはわかりません。私の中に巣食う悪魔が目覚めたかは不明です。
こういう時、メゾンの文化的・宗教的背景がわかっているとまた違う捉え方になるのかもしれませんが、これが私の限界ということでご容赦いただければと思います。