とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

MUSC25(LE LABO)

ルラボは2006年創業のニューヨークのメゾンで、このブログ記事を書くためにどんな来歴があるのか調べようとしたところ、公式サイトのABOUT USを読んでも「創業者について語ることは何もない、あるのはただルラボという名前だけ」と潔く書いてあります。

その代わり自分達の信念(マニフェスト)をたくさん掲げていますが、最後のマニフェストが”We believe explanation kills art”. 「ーだから上に書いてあることは全部忘れろ!」。拙いですが私なりにマニフェストを超要約すると「ニューヨークから魂込めて作ってます」になります。

ご興味のある方はリンクからどうぞ。(英語です)

https://www.lelabofragrances.jp/about-us/

 

世界の各都市でしか基本的には手に入らないのが、シティエクスクルーシブコレクション。年に1回程度、期間限定で日本でも全種類揃うと聞きましたが、ロサンゼルスの香りがムスク25です。後ろの数字は使われている香料の数を指します。

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公式サイトの説明は意味がわからない非常に難解なのですが、ムスク25についてまとめると、「天使」「白く強く輝きすぎてこの香りに近づくためには影をまとわなければならない」、「天国のように真っ白」しかし「中心軸は悪魔のように非常に暗い」。

 

「ゆえにその暗さはあなたの中に潜む罪にいかりを降ろした悪魔の目を覚まさせ、その中にあるアニマルノートはセンシュアル、セクシュアル、そして廃退的なもの。」(この部分は原文ママ)

―要するに、天使かつ悪魔のような2面性のある香りだと言いたいのだと思います(雑)。

 

何故ロサンゼルスなのかという点については「性別をもたない天使達は香りの世界へ誘惑されたから。」ということで、おそらく都市名にあるAngeles(天使)にかけているのだろうと思われます。

 

※ちなみにルラボの日本語版サイトは思いっきり英語からの直訳感丸出し、ある意味気持ちが良いほどで、自然な日本語に洗練させるつもりなどさらさら無いという強い意志が感じられます(※褒めてます)。とはいえ日本語訳を見ても「これ、原文も意味がわからない難解なのだろうな」と推察せざるを得ないところがあります…が、きっとそれが良さなのでしょう。That’s the beauty!!

(すみません、アメリカ版サイトを見ましたがムスク25が見当たりませんでした。探し方が悪いのでしょうか)

 

明かされている香料はアルデヒド、ベチバー、アンバーグリス、ムスク、シベット。

 

ムスクはジャコウジカ、シベットはジャコウネコ、アンバーグリスはクジラから取られる香料。最近は動物保護の観点からムスクとアンバーグリスは合成香料に置き換わっているとよく聞くので、シベットもそうかもしれません。ルラボ自体、動物実験反対を唱えてますし(と、言いつつ全部天然香料だったらどうしよう)。ひとつ言えるのはアニマリックな香料がたくさん使われているということでしょうか。

 

いざつけてみると、まずアルデヒドがキーンと鳴ります。なるほど、これが「天国のように、真っ白に力強く光り輝く」ということか…。思い浮かぶ言葉は「無慈悲」。緊張感があり、リラックス要素は皆無です。

アルデヒドの高音が収まっていくと、白い大理石を触っているような、冷たくも滑らかな印象を受ける香りに変化します。

その後、次第に丸みが出てきて、天使の真っ白な羽根の下にいるような感覚を覚える、やわらかな香りへと移ろいます。ドライダウンしていくにつれ、ふわふわの綿に触っているような感覚に。

全体として、香りからイメージされる色は一貫して「白」なのですが、その質感がドラマティックに変わっていくのを楽しめるフレグランスだと思います。

 

私自身、キリスト教に関する知識が非常に浅いため、メゾンの意図を的確に捉えられているかはわかりません。私の中に巣食う悪魔が目覚めたかは不明です。
こういう時、メゾンの文化的・宗教的背景がわかっているとまた違う捉え方になるのかもしれませんが、これが私の限界ということでご容赦いただければと思います。


<追記2018.1.24>

ルラボの公式ブログによると、やはり動物保護の観点からシベットは合成香料を使っているそうです。

https://ameblo.jp/lelabo0354592770/entry-10993059500.html