とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

MOUSSE DE CHENE30(LE LABO)

ルラボのシティエクスクルーシブラインのアムステルダム限定品です。

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クリスタルモスとクリアウッドによる「ネオ・シプレー」であると、公式では謳われています。

あらためてシプレ系についてご説明しますと、1917年にフランソワ・コティ社が発表した香水、Chypre de Coty(既に廃盤)が源流となっているジャンルです。「シプレ」とはフランス語でキプロス島のこと。シプレ系に特徴的な香料、オークモス(樫の木の苔)がこの島で採られていたことに由来します。基本的には、ベルガモット、ローズ、ジャスミン、パチュリ、ラブダナム、そしてオークモスが組み合わされた香調です。ゲランのミツコなどが有名です。
私はどちらかというとリラックス系というよりは、かっちりした印象を受けます。
余談ですが、近年ではオークモスがアレルゲンとして規制されるようになり、沢山使うのが難しくなっているとも聞きます。

今回使われているのはクリスタルモス(和名ヤナギゴケ)。光合成によって多数の気泡がつくのが特徴で、それが名前にも表されています。
香料メーカーのフィルメニッヒ社によりますと、クリアウッドはパチュリのやわらかくクリーンなバージョンで、オリジナルのパチュリから土臭さ、レザーやゴムのような匂いを取り除いたような香りであると説明されています。写真を見る限り、木というより葉っぱなのかな、と思います。

トップからシナモンとピンクペッパーが香り立ち、全体としてはクールな印象なのですがスパイスの温かみも加わり、その後も全体を引き締め続けます。確かに、パチュリの土っぽさは強く感じないように思います。

伝統的でありながら革新的なアムステルダムの街に捧げられた香り。シプレの王道から少しだけ癖を抜いて、クリーンでスタイリッシュな香りに仕立て上げられている印象を受けました。確かに、これはシプレの現代的な解釈なのかもしれません。