とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

夜間飛行 香水(ゲラン)

1933年、ジャック・ゲランによって生まれた名香「夜間飛行」。友人アントワーヌ・サン=テグジュペリの小説にヒントを得て創作されました。当時の著名な女性パイロットであったエレーヌ・ブーシェのように、女性らしさを失うことなく、男性中心の社会でも自分の立場を貫き、冒険的で志のある女性に捧げられた香りです

(公式サイトより)

 

このエピソードに泣きそうになります。

オーデトワレのデザインも素敵なのですが、香水の瓶が芸術的としか言いようがないのでぜひご確認ください。

Vol de Nuit - Guerlain

私が試したのはトワレではなく、香水のほうです。お店の方曰く、香水のほうがトワレよりアルコール量が少ないので、もっとパーソナルに香るということです(トワレのほうが拡散するそう)。

 

香調はオリエンタル・シプレー。トップはグリーン ガルバナム。ハートではスイセン、バイオレット、カーネイション、ジャスミン、ローズが花を咲かせます。スパイスやアンダーグロースも入っています。

と、公式サイトやパンフレットを見ながら書いてみましたが、実際はとても複雑な香りです。

 

肌に乗せてもらった時、「これが…これが名香か…!!!!!」と雷に打たれたようになりました。
「名香」という言葉に私はひどい偏見を持っていて、「有名であるものの、現代的ではない」というイメージでした。しかしこれは紛れもない「本物」。時代なんて関係ない。古びることがない。時を超えて、現代を生きる私たちの心に迫ってくるもの。偏見ぶち壊し。

 

そもそも私は「シプレー」というジャンルが苦手でしたが、これは大丈夫でした。しかし、それとは別の理由で、私のような小娘は使いこなすのに少し時間がかかるかもしれません。

 

「女性らしさを失うことなく、男性中心の社会でも自分の立場を貫き、冒険的で志のある女性に捧げられた香り」。1933年に発せられた、この力強いメッセージ。
80年以上経った2017年の今になっても、女性が男性と同じように働くのにはハードルが高いし、そうでなくてもジェンダーに縛られることは本当に多い。時折泣きそうになるけど、それでも、顔を上げて、前を向いて歩いていく。それを後押ししてくれる香りだと思います。

 

ゲランはそもそも、香水からスタートしたブランドだそうです。今日まで5代にわたる調香師たちが800種類以上ものフレグランスを作ってきたとのこと。
今回初めてゲランの香水を試してみましたが、ブランドとしての骨太さに参ってしまいました。また色々嗅ぎに行ってみようと思います。