とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

VETYVER(LE GALION)

元々は1968年に発表されたものを2015年に蘇らせた香水(EDP)です。元の調香師はPaul Vacherで、復刻はThomas Fontaineが担当しました。

ガリオンは1930年創業、1935年にPaul Vacherがオーナー就任、1936年にフローラルアルデヒドの香水「ソルティレージュ」が大成功を収めながらも1980年代にはアメリカの企業に売却され、低価格戦略でブランド価値は低下、フレグランス業界から名前を消します。しかし2014に新オーナーNicolas Chabotの手により復活。当時の調香を復刻すると同時に、新しい香水も生み出しています。

ちなみに、Paul Vacherはアルページュ(アンドレ・フレイッスと共同で作ったもの)やミス・ディオールの生みの親でもあります。

 

香調:アロマティック ファーン

Head notes: スパイシーベルガモット、イタリアン マンダリン、ナツメグコリアンダー

Heart notes:クラリセージ、ラベンダー、プチグレン、タラゴン、ヴァーベナ

Base notes:ベチバー、サンダルウッド、トンカビーン、ムスク

 

1968年頃のフェミニズムの気運が高まるにつれPaul Vacherが作り出した、真に男性向けのフレグランス。

…と、公式サイト(英語版)で過去の経緯を説明しながらも、現在のルガリオンの日本向けパンフレットではユニセックス向けとなっています。メンズ寄りかとは思いますが、確かに今の時代であれば女性がつけても違和感はなく、発表当時のことはわかりませんが、もしかしたら社会のジェンダー観が変わっているのかもしれません。

http://www.legalionparfums.com/vetyver

 

プッシュした瞬間、気品溢れる香りが飛び出します。少し癖のある、スノッブシトラスです。ナツメグコリアンダーなどのスパイスが気分を引き上げてくれます。

ミドルはクラリセージ、ラベンダーとヴァーベナのハーバルな香り。しばらくすると表層でハーブがアロマティックに香る一方、深層からこんもりとした土っぽさが徐々に出てきて、ベチバーが主役のラストノートへと変わります。

 

ただし私の場合、ベチバーがあまり強く出てこない日があったのも事実で、その時はラストがサンダルウッドメインとなり、ミドルのハーバルからクリーミーな香りに変化しました。気温や湿度、また私自身の肌のコンディションに左右されていると思われ、どちらに多く振れるかは纏う人の個性によるのかな?と思います。

 

全体としてドラマティックに香りが変わっていくので、変化を楽しみたい方にお勧めです。ただ、先述の通りベチバーが必ず出ると言うことはできず、名前の通り「思いっきりベチバー!」な香水を期待すると、人によっては「あれ?」となるかもしれません。

 

イメージとしては、スマートに物事をこなしていく、ジャケットを着た細身の紳士です。クラシカルな面立ちで、どちらかというと、ジャケット姿に似合うと思います。少しかっちりめにお洒落して出かけたい時にお勧めです。