とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

フーアブサン(ラルチザン パフューム)

2006年発表のEDP。禁断の酒、アブサンをテーマにした香水です。アブサンはニガヨモギやアニス、ウイキョウなどのハーブやスパイスで作られるリキュールで、芸術家含め多数の中毒者を出したことから一時期禁止されるまでに至りました。
(現在は幻覚をもたらすとされた成分が一定量以下であれば製造が解禁されているそうです。飲んだことはありませんが)


・トップ: ニガヨモギ、アンゼリカ、カシスのつぼみ
・ハート:スターアニス、ペッパー、パチュリ、クローブナツメグ、ジンジャー
・ベース:松葉、シスタス、バルサムモミ
<調香師 :オリヴィア・ジャコベッティ>

 

トップから薬草の匂いがします。アブサンはその色から別名グリーン・フェアリーとも呼ばれ、飲むと幻覚で緑の妖精が見えるという伝説もあるそうです。確かに、妖精が見えてもおかしくないような、幻惑的なオープニングです。
やがてトップのグリーンの下から出てくるのは、カルダモンやアニスなどのスパイス。全体はクールな印象なのに温かみがあるという二面性があります。私は氷を入れたアブサンを飲みながら、心の中では内なる炎が燃え続けているような情景を思い浮かべます。
やがてスパイスが落ち着くと、ラストはしっとりとした針葉樹系の大人のウッディノートになります。この滑らかさが非常に官能的です。

 

好みは分かれるかもしれませんが、トップからラストまでの変化が刺激的であり、薬草系でユニークなものを探している方にはお勧めの香水です。