とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

タンブクトゥ(ラルチザン パフューム)

西アフリカのマリに伝わる“恋人を虜にする香料”からインスパイアされた香り。アフリカ原産の香料、トロピカルフラワー(カロカロンデ)やパピルスウッドが使われています。

名前はマリ共和国内のニジェール川中流域、川の湾曲部に位置する砂漠の民トゥアレグ族の都市から。(そう言えばイルプロフーモにもトゥアレグという名前の香水がありましたね。)

フレグランスファミリー / ウッディ (ウッディ スパイシー フローラル)
ヘッドノート / ピンクペッパー、カルダモン、グリーンマンゴー
ハートノート / カロカロンデ、インセンス、パピルスウッド
ベースノート / ベチバー、パチュリ、ミルラ、ベンゾイン
調香師 / ベルトラン・ドゥショフール

つけた瞬間、これまで嗅いだことの無い香りに衝撃を受けます。トップはかなりスモーキー。グリーンマンゴーが一瞬広がったかと思うと、すぐにカルダモンが視界を覆い尽くします。フルーティーというよりはかなり固さのある香りで、ベチバー、パチュリが骨となって全体を支えており、インセンスがその骨とともに立ち上ります。その後控えめながらもほんの少しだけ華やぎが出てくるのは、カロカロンデの花でしょうか。どこか古い紙を思わせる香りも出てきて、これがパピルスウッドなのかなと思います。トップに比べると、もう少しひらけた場所に出たような印象を受けます。
そこから少し甘みのある樹脂の香りへ。温もりがあり、ほっとするような美しいドライダウンです。

「マリの恋人を虜にする香料」がモチーフのこの香り。最初に聞いた時は「エキゾチズム全開のメルヘンなコンセプトかよ」と思ってしまいましたが、いざ肌にのせてみると確かに惚れ薬だと納得できますーそれも、異性に対してではなく、変わった香りが大好きなフレグランスラバーへの。このスモーキーで甘さの少ない香りは心を捉えて離しません。
これをつけても、他人への「良い匂い」アピールには全くなりません。ただただ、自分が自分らしくあるために、そして過酷な現実に向き合うために纏いたい香りです。