とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

N°5 EDT(CHANEL)

あれは確か小学生の頃、祖父が海外旅行土産で母に5番の香りのボディクリームを買ってきたのが、私の5番との最初の出会いでした。

裸で寝ることで有名だった大女優マリリン・モンローが、「夜何を着て寝るのか」と聞かれ、「シャネルの5番よ」と答えたーその逸話をその時両親から聞きました。

 

告白します。時は流れ2016年。5番の新作が出たらしい、と聞いた私はトップのフレッシュさに魅せられ新作のロー(L’EAU)を手にしました。ちゃんとラストノートまで嗅いで購入を決めたのですが、実際に買ってつけてみると思いのほか「女」を感じさせ、化粧っ気がなくラフな格好ばかりしている自己イメージとはかけ離れているし、パウダリーさが化粧品の匂いに思えて一気に苦手意識が加速し、これは全く使いこなせないと、結果的に手放しました。

 

時は更に流れ2017年冬。ひょんなことから数十年前のものと思われるEDTを手に入れました。お、おう…。5番は永遠に使いこなすことができない香水だと思っていたのに。劣化はどうなのかしら…

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石鹸が何かのおまけとして付いてきたらしい、5mlのミニボトル。

しかしこれも何かのご縁。ゲランの夜間飛行とグッチのNo.1で名香というものに興味を持った私は「これは香水好きとして、教養として知っておくべき香りではないか」と思い、一度丁寧に嗅いでみよう、そして感想をしっかり言葉で記述してみよう、と考えました。学問を学ぶ時にまず古典を読むようなイメージで…(とはいえEDTの発表は1960年ですが)。

 
前置きが長くなりました。パルファムの発表は1921年、EDTの発表は1960年。

発表当時の本国での時代背景や、何故その後日本でウケたのか(石鹸含め海外旅行のお土産の定番だったらしい)などについて考察しようとしましたが、完全に私の力不足なためこの記事では感想だけを書くに留めておきます。

 

トップノートはネロリ、その後ローズ・ドゥ・メとジャスミンの香りへと変化します。そして何よりも特徴的なのはアルデヒドの使用です。

パルファムに比べるとEDTは気軽に使えるものになっているとのこと。

 

「永遠の女性らしさを語る香り」と公式ホームページにありますが、イメージする女性は「しっかり者の姉ちゃん」。ちなみに、後から発表された19番は「猪突猛進にバリバリ物事をこなしていく、はっきりした性格の妹」です。

アルデヒドで全体がリフトアップされるような印象を受け、華やかで、甘くなく、「大人の女性」の香りがします。

もっとハードルの高い香りかと思っていましたが、今回手にしたEDTは経年変化のためかあまり香り立ちが強くなく、スプレー型アトマイザーに詰め替えて内腿にプッシュすればふんわり香るため、あまり身構えなくても良いのかも…と思いました。

 

今度シャネルのカウンターに立ち寄る機会があったら、P、EDP、Eau PremieやL’EAUを嗅ぎ比べてみたいものです。

 

<余談>

最新作のL’EAUは若者に強くアピールするような広告となっており、5番の敷居の高さを打破する意図が感じられます。「クラシックな香水からいかに未来を描くか」というパラドックスから生まれたとのこと。トップノートにシトラスが使われています。広告ではリリー・ローズ・デップが起用され、ありとあらゆるパラドックスを詰め込んだー例えば、”You know me and you don’t”ー光り輝くような動画が公式サイトに上がっています。 

https://www.chanel.com/ja_JP/fragrance-beauty/fragrance/c/n5.html

その新作ですら1年前の私は「こんな(新作だけど)クラシカルなの無理〜〜」となってしまった訳ですが…もう少し経験を積んだ今なら、受け止め方も違うかもしれません。

 

<2018.1.4追記>

シャネルのカウンターで5番シリーズを全作品試してきました。

鼻があまり効かない中で嗅いだため雑な感想でしかないですが、

・香水(P)…まっすぐで強い眼差しをした姉のイメージ
・EDP…香水の流れを汲んだもの
・EDT…ふんわりやさしい
・オープルミエール…5番をやわらかくしたもので、かすかで自然な甘味の表現は他とは違うかもしれない。一番パウダリー
・ロー(L'EAU)…5番を現代的に解釈したもの。トップに柑橘が使われ、フレッシュ。水のような感じが加わる。確かに水を思わせる(アクア系など)のは最近の流行りかも。

BAさん曰く、特にパウダリーなのはオープルミエールとローとのことでした。

私自身の意見では、断然美しいのは香水(P)です。1921年発表、アレルゲン物質の規制などで調香はオリジナルから変更となっていると聞きますが、それでも圧倒的な美しさを誇ります。
一方、EDTはふんわりとしていて、気軽に日常使いするならこれかな、と思いました。
自腹で買うとしたら香水かEDTか、それとも両方かだと思います。