とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

TEA FOR TWO(ラルチザン パフューム)

プサンスーチョン。

それは、紅茶の茶葉を松葉で燻したお茶。癖のある燻香が特徴で、中国の福健省の一部で生産されています。

(飲んだことありませんが)

 

オードトワレ

フレグランスファミリー / ウッディ (スパイシー グルマン)

ヘッドノート / ベルガモット、リンドウ、オレンジブロッサム、アニス

ミドルノート / シナモン、ジンジャー、スモークティー(ラプサンスーチョンティー)

ベースノート / ハチミツ、バニラ、タバコ、ガヤックウッド

調香師 / オリヴィア・ジャコベッティ

 

さあ、お茶会の時間です。トップはいきなり超スモーキーな香り。かなり個性的で、甘みはありません。

数分すると、ジンジャーのピリリとした香り。蜂蜜の甘みも徐々に出てきます。それと同時にシナモンの香り。さながらラプサンスーチョンを飲みながらジンジャークッキーを食べているような気分です。ミドルからラストにかけ、蜂蜜がどんどん前に出てきて、バニラも相まってかなりグルマンな印象に。手首につけたりすると結構ハッキリと蜂蜜の甘みが感じられるので、ウエストや内腿につけた方が少し使いやすいかもしれません。

オードトワレですが持続時間は長めです。

 

ラルチザンには自然を描いたやわらかいもの(テプーアンエテ、カリーニャ、エテアンドゥースなど)と個性的なもの(タンブクトゥなど)両方ありますが、これは後者に入ると思います。

 

TEA FOR TWO. 紅茶2人分。一緒にスモーキーなラプサンスーチョンを楽しむひと時。渋い、渋すぎる。一度誰かとラプサンスーチョンを飲む会を開催したくなりました。茶葉、どこで売っているかな。

 

<追記2018.4.15>

プサンスーチョン、飲んでみました。スモーキーな香りに最初はびっくりしましたが、味事態に癖は無くすっきり。身体の中にだんだん煙が充満していくような感覚があり、飲んでいるうちに気持ちがだんだん落ち着いてきます。クッキーと一緒にいただきましたが、確かに甘いものを食べながら飲むのは良いと思いました。TEA FOR TWOにお菓子のようなグルマン要素があることに納得。

紅茶専門店の方曰く、昔ラプサンスーチョンを飲んだ西洋人がその美味しさに感動し、それを再現しようとして作ったのがアールグレイとのことです。アールグレイのルーツはこんなところにあったんですね。

ALDEHYDE44(LE LABO)

ルラボのシティエクスクルーシブラインのダラス限定品です。この記事では商品名はあえて英語読みでアルデハイド44、使われている合成香料は日本風にアルデヒドと書くことといたします。2013年に一度廃盤になりましたが、昨年復刻されたようです。
(※海外のクチコミサイトfragranticaによると、ダラスのブティックが再オープンしたのに合わせて復刻されたとのこと。)

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アルデヒドと言えばシャネルの5番、5番と言えばアルデヒド
2011年のルラボの公式ブログでも、「アルデヒドはシャネルのNo5のメインで使われていた香料でも有名。」とマリリン・モンローの逸話も含めて紹介されています。
https://ameblo.jp/lelabo0354592770/entry-11094418931.html


現代の私達がアルデヒドを語る時、5番の存在は外せないのだと思います。「あれあれ、アルデヒドってあんな感じ!」と人に手っ取り早く説明するのには5番が一番良いのでしょう。
ネットではシャネルの22番と結びつける人も多く、シャネルの功績の大きさがわかります。

トップはモダンな印象。アルデヒドが全体をリフトしているのを感じた後、割とすぐにスイセンジャスミン、チュベローズの豊かなフローラルが溢れ出し、華やかさがありながらも意外にも(?)つけ心地の良さを感じました。特にチュベローズのふくよかさには包容力があり、上等なソファに身を委ねているような気分になります。さらに時間が進むと(約30分)、次第にムスクが香ってくるのか、非常に上質な石鹸のような香りになります。これが何時間か続き、ラストではムスクに乳白色を思わせるバニラが滑らかにスッ…と入ってきて、身体全体が包み込まれる感じです。

ところで、海外のサイトで「アルデハイド44はルラボの中でも最も複雑で面白いもののひとつ」と書いている人が、「一番残念なのはこの香りがダラスでしか手に入らないということで、香水界に革命を起こすと言ってるなら、都市中心主義には叛旗を翻すべきじゃないの」と苦言を呈しており、私もいち地方出身者として(現在、自分が大阪という大都市の中心部にアクセス可能でその恩恵を享受しまくっているのは棚に上げておいて)全く同感でございます。

https://boisdejasmin.com/2007/02/aldehydes_44_le.html

…とは言いつつ、ルラボのシティエクスクルーシブラインのご紹介はまだまだ続きます。皆様、どうかお付き合いください。

***
最初にご紹介したルラボのアメーバブログ、更新が2012年で止まっているのですが、最初の記事が2009年、まさしく黎明期と言って良いのか、自社製品の紹介はもちろんのこと(ただし短い文章で)、他のメゾンの紹介もするし、書き手が自分の香水ワードローブ(他社製品が主)を披露するなど、自社製品ばかりを持ち上げまくるというよりは、他社製品も含めて香水が好きな人が楽しんで書いているのが伝わってきます。2018年の今、親指を立ててイイネ!を5つぐらいつけたいです。

パリエーリ

パリエーリの歴史は古く、1806年に調剤薬局スタイルのパフューマリーとして誕生し、1876年に創業者の名前であるパリエーリの名でブランドを立ち上げ、これまでずっとボディケア製品を作ってきました。2016年に創業140周年を記念し、フレグランスコレクションを発表。

それぞれがイタリアの街をモチーフにしており、ネーミングは全てラテン語。ボトルが非常に凝っていて、アンジェラ・チャンパーニャのボトル(と香りも)が陰を想像させるのに対して、こちらは明るい色が多用され、まさしく太陽の国イタリア、という感じがします。

ボトルはこんな感じ↓

www.fashion-press.net

(※ちなみに、全てムエットでの試香ですが、お店から持ち帰った当日は鼻が疲れて効かなくなってしまったため、ひと晩明けたムエットでの感想です)

 

◆アグリゲントゥム
華やかで賑やかな馬車のパレードのイメージ。オリエンタル・グルマン。フローラルで始まり、マジパン(スペインなどで作られているパン)、アーモンド、パチュリ、ブラックカラント、トンカビーンズ、牧草へと移ろいます。

 

アマルフィ
アマルフィ海岸の美しい風景を表現。シトラス・フローラル・グリーン。ベルガモット、マンダリン、グレープフルーツ、ユズ、ローズ、スズラン、スイレン、シダーウッド、ムスク。トップはかなりフルーティーです。ムエットに残った香りはスズランでしょうか。シダーウッドやムスクはそこまで強く感じず、重厚感はあまりないかもしれません。

 

◆フロレンティア
フィレンツェの香り。ウッディ・オリエンタル・レザー。クローブ、サンダルウッド、レザー、アンバー、スパイシーローズ、オリス。トップは好みドンピシャでしたがラストはかなり甘く、甘いのがあまり得意でない私は「ああオリエンタルだなあ~」と思いました。

 

ジェノヴァ
シトラス・ウッディ。シトラス、ベチバー、バジル、オリーブブロッサム、サンダルウッド、シダーウッド、バルサムモミ、ミルラ。ハーバルな要素が強いかもしれません。確かに、パスタのジェノベーゼのソースって、バジルペーストに松の実、チーズ、オリーブオイルなどを加えたものですよね。香料を見て納得です。お店でトップを嗅いだ時はあまりピンと来ませんでしたが、ムエットに残ってる香りはかなり心地良く感じます。

 

◆ロマエ
シプレー・フローラル。ローマの古い回廊や建築物の壮大な床やモザイクのイメージ。ローズ、オレンジブロッサム、マンダリン、ローズベリー、パチュリ、アンバー。これも重厚感は感じず、フローラルど真ん中だと思います。

 

ヴェネツィア
木造のマーケット。ウード、アガーウッド、サンダルウッド、シナモン、サフラン、ローズ、フリージア。これもウッディ系の香料がたくさん使われているものの、ムエットに残った香りにはあまり重厚感がありません。貿易で栄えた都市だけあって、船に乗って海に出て行くような感じもあります(香り自体に塩気は無いと思います)。

 

個人的にはフィレンツェヴェネツィアに行ったことがあるので、それぞれの香りを特に興味深く感じました。「ローマを見てから死ね。」ということで、いつの日かローマにも行きたいものです。

 

ところで、イタリアの都市名で香水を作るのには強い愛国心を感じるのですが、日本でやるなら大阪はたこ焼きソースの匂いになる気しかしません。北海道はラベンダー、東京はコンクリートジャングルよろしく固めの合成香料だらけで、新潟は日本酒、京都はお香、岡山は桃、愛媛はみかん、沖縄はさんぴん茶とか…?どう考えても売れません。観光立国、ファッションの国のイタリアならではのアイデアなのかなあと思います。

アンジェラ・チャンパーニャ

イタリアの中心部にあるアトリという職人の町で誕生したフレグランスブランド。
アトリの町にまつわるストーリーが香りのテーマになっています。
100mlのボトルには教会のバラ窓のモチーフが上にくっついていて、とても印象的です。お店の方曰く、香り立ちは強め。

 

アンジェラ・チャンパーニャは明かされている香料もとても多いのですが、全体的に「輪郭をぼかした色が暗めの水彩画」みたいな香り方をするので嗅ぎ分けが容易という訳ではないかもしれません。

 

◆Nox(ノックス)
太陽の至点でのダンス。主な香料は塩とヒノキ。全体は複雑ですが確かにその2つは感じられ、檜風呂の温泉に感覚は近いかも。ただし、ダンスというだけあって、温泉のリラックス感はありません。

 

◆Hatria(アトリア)
アドリア海の暖かさ。ローズとカラメルとウード。結構生花に近い薔薇の香りがするかも。ムエットからはウードの重たさは感じられません。やはり輪郭をぼかした、暗めの色の水彩画を想像します。個性で攻めまくるアンジェラ・チャンパーニャの中ではまだとっつきやすい方かもしれません。 この香りをつけている人がいたら、間違いなく振り返ります。

 

◆Ducalis(デュカーリス)
エレガントなブーケ。公式サイトにはメインは塩とoudとありますが、ウードは何故か詳細香料リストには入っていません。ゼラニウムに始まり、ローズ、メイリリー、シクラメン、イランイランが咲いていきます。海の見える街の坂道に教会があって、そこで結婚式を挙げている花嫁さんが抱えているブーケ…というイメージを思い浮かべました。

 

◆KANAT(カーナト)
古代の池。塩、ブラックカラント、サフラン。古代かどうかはわかりませんが水の濁った池という感じで、透明度は極めて低く、池(というか沼)にズブズブと沈んでいくような体験ができます。トップを嗅いで最初はお洒落さん向けの香りかと思いましたが、ミドル、ラストと進むにつれ、その手強さを感じました。

 

◆AER(アーエル)
夕暮れの霧。草と煙。トップは芝生に顔をつっこんだ時みたいな匂いがします。一日経ったムエットではもっと嗅ぎやすくなり、グレープフルーツとベチバーが感じられます。アンジェラチャンパーニャの中でお店の売り上げNo.1だそうです。

 

◆Liquo(リクオ)
神秘的な油。ヘイ(干し草)とリコリス。これも…台湾です…(ルタンスのアラビの時もそんなこと言ってた)。おそらくアニス(八角)の匂いを脳内で短絡的に台湾と結びつけてしまうのだと思います。アンジェラ・チャンパーニャの中でも非常に個性的で、人を選ぶ香りです。

 

◆Rosarium(ロザリウム)
礼拝堂の花。イリスウッドとインセンス。最後はかなり甘くなります。タバコの花、キャロットシードやセロリシードも入っています。

 

<総括>

本当に独創的で個性的です。今まで経験した中で一番人を選ぶメゾンかもしれません。

とはいえ、Instagramで#angelaciampagnaで検索すると全世界で795件ほどの投稿があり、香水店によるものがほとんどだと思いますが、一番多いのはなんとリクオ。みんなそんなに八角が好きなのか。あとは、ブリサアラのお店には置いてありませんでしたが、別ラインのFAUNI とIGNES。昨年新宿伊勢丹で開催されたサロン・ド・パルファンでも取り上げられ、そこでロザリウムを購入した、そして周囲の評判も良い、という日本の方もいました。

 

次は同じくイタリアの、パリエーリについてご紹介します。 

 

公式サイト:

Angela Ciampagna

escentric molecules

大阪駅直結のグランフロント大阪南館5階にある、blissala(ブリサアラ)というお店でescentric molecules、アンジェラ・チャンパーニャ、パリエーリの3ブランドを試香してきましたので、ご紹介します。なお、blissalaにはアトリエ・コロンとダウン・パフュームも置いてあり、ニッチフレグランスにご興味のある方には堪らないお店だと思います。

ムエットもひとつずつ専用のムエット袋(封がしてもらえる!)に入れ、さらにメゾンごとに大きめの袋に入れてくださるなど、フレグランス好きが歓喜するような対応をしていただきました。

***

escentric moleculesはイギリスで立ち上げられたブランド。アンチ・フレグランスを掲げています。調香師自身はドイツ出身です。

フレグランス業界で長い実績を持つベルリン出身の調香師ゲザ・ショーエンは、今回は、フレグランスの作り方やマーケティング方法に、敢えて挑発的な姿勢を 望んだ。彼は、全てのプロセスの神秘を解くことに熱中していた。彼の提案は、2つの香りの同時発売することであった。1つは、異なった香料が香り立つ合成 香料、つまり多くの人々がフレグランスの概念として理解しているものである。もう1つは、一種類の香り、モレキュールの香りに敬意を示したものである。こ れは、合成された香りによって個性を決定するものである。

(公式サイトより)

ABOUT - Escentric Molecules 【エセントリック・モレキュールズ】


ボトルも近未来的なデザインとなっており、見た目からもその哲学が感じられます。

並行輸入品ですがこんな感じ

 

通常ラインの値段は100ml¥17,000,30ml¥12,000、30mlリフィル¥8,000(税抜)。The Beautiful Mind Seriesは100mlワンサイズで¥25,000(税抜)です。

以下、トップ:T:、ハート:H、ベース:Bと記載しています。

 

<通常ライン>

◆molecule01
ムエット上ではあまりわからず、肌の上に乗せるとフェロモンのように香り立ち「自分だけの香り」となる香水。香料で明かされているのはシダーウッドだけ。ブリサアラでは30mlは人気すぎて欠品中でした。 
個人的には、かなり好みど真ん中です。スキンフレグランスの一種だと思いますが、やわらかな丸みがあり、(ムエット上では)シダーウッドは材木系には転ばず心地よく感じる程度です。次回はぜひ肌に乗せたいと思います。 

 

◆escentric01
molecule01に個性を足した香り。T:ライム、ピンクペッパー、H:オリス、B:シダーウッド。ピンクペッパーのピリッとしたスパイシーさと、オリスのふんわりしたフローラルが同居しています。

 

◆molecule02
明かされている香料はアンブロキサンのみ。ムスク系。これもムエット上では非常にやわらかく香ります。肌に乗せて初めてわかる香りを放ちそう。 

 

◆escentric02
molecule02に個性を足した感じ。T:オリス、エルダーフラワー、H:ベチバー、B:アンブロキサン、muscone。トップはエルダーフラワーのフローラルを感じ、ムエットに残った香りは2時間経ってもフローラルでした。

 

◆molecule03
明かされている香料はベチバーのみ。一番メンズ寄りに感じました。

 

◆molecule04
グレープフルーツの香りで、メタリックな要素もあるとか。ムエット上では香りがあまりわからないmolecule01,02と比べ、トップははっきりとグレープフルーツでしたが、3時間後にムエットを嗅いでみるとだいぶ人肌っぽい匂いに変化していました。 

 

◆escentric04
molecule03に個性を足したもの。はっきりとグレープフルーツ+バルサムが感じられます。

 

<The Beautiful Mind Series>

女性の神性を帯びた知性と創造性を表現したのがビューティフルマインドシリーズ。赤青2色あります。

◆Beatiful Mind Vol.1(赤)

世界記憶力ランキングのグランドマスターであるChristiane Stenger(クリスティアーネ シュテンガー)にインスパイアされたもの。女性の「知性と想像」を表現。公式にはタヒチ産のティアレブロッサムのクリーミーな香り…とありますが、私はピンクペッパーを強く感じます。

◆Beatiful Mind Vol.2(青)

クラシックバレエ・ダンサー、Polina Semionova(ポリーナ セミオノワ)にインスパイアされた香り。女性の「精密と優雅」を表現。フルーティー・スモーキー・スパイシーとのことですが、端的に言ってお洒落なタイマッサージ屋の匂いがします。 

 

<総括>

実際に合成香料がどれだけ使われているのかはわかりませんが、「最上級の天然の香料をふんだんに使用し…」という、自然派をアピールしがちなメゾンフレグランスの世界にあって、真逆を行くようなスタイルが潔いと感じました。一番興味を持ったのがmolecule01で、人によって全く香り立ちが異なるそうなので次こそは肌に乗せるぞ!と意気込んでおります。

公式サイト:

Escentric Molecules 【エセントリック・モレキュールズ】

ブリサアラサイト:

五感を磨く、真の自分を見いだす、多彩なライフスタイルに寄り添う、新スタイルアポセカリー「ブリサアラ」

 

追記2018.8.15】

閉店してしまったようです。残念です。

BAIE ROSE26(LE LABO)

ルラボのシティエクスクルーシブラインのシカゴ限定品。 

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ベローズとは、フランス語でピンクペッパーのこと。胡椒とは何の関係性もないものの、見た目が似ていてピンクであることから名付けられているそうです。味も胡椒のような辛味があるのだとか。

★参考:

madagascar.find-africa.com

 

私もピンクペッパーが入ったフレーバーティーを飲んだり、ちょっとお洒落な店でカルパッチョなどに乗っかっているのを食べたりした記憶はあるのですが、胡椒ほどではないにせよ、確かに少しピリッとしたかも。なんとなく、お洒落な味がした気がします(その場の雰囲気のせい?)

 

ベローズ26の背後にあるストーリーはジャズミュージック。心を穏やかにしてくれる一方で気持ちをぐっと引き上げてくれる、音楽の力。使われているのはアルデヒド、ピンクペッパー、グラース産ローズアブソリュートクローブ、シダー、ムスク、アンブロックス、アンブレット。

 

実はシカゴはアメリカでも有数の音楽の街。特にジャズとブルースはシカゴ独自のスタイルが確立されているようです。

www.ana.co.jp

 

プッシュした途端に溢れるお洒落感。ピンクペッパーを載せたカルパッチョを出すレストランのような、お洒落な空間へご招待(※魚の匂いはしません)。英語で言えばfancyな情緒にあふれています。ローズがメインとなって香り、ここではスパイシーさは控えめ。アルデヒドも全体を少しだけリフトしている程度で、ムスク25のようにキーンとは鳴りません。

その後じわじわとスパイスが香り出し、粒子の細かい胡椒の粉のヴェールの向こうに薔薇が見えているような感覚を覚えます。視界がクリアになってきたかと思うと、最後はムスクでふんわり着地。

スパイシーではありますが、温かみがあるかクールかと言えば、平熱。

 

全体として、言葉遊びなのか、ピンクペッパーと同じくらい、ローズ(薔薇)の存在感が大きいフレグランスと言えそうです。POIVRE23に引き続き、胡椒ラバーの方にはお勧めです。

CUIR28(LE LABO)

ルラボのシティエクスクルーシブラインのドバイ限定品です。

 

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公式曰く「汗とガソリンいらずのイージーライダー」な、「オリエンタルで中毒性のある終楽章を奏でる香り」とのことで、「最初からクライマックス‼︎」なのかと期待してプッシュしたらいきなりベチバーとレザーが炸裂。ガソリン要らずって何ですか、どう考えてもガソリンじゃないですか。

 

えっ…つまりこういうこと…?

デザートサファリ

www.excite.co.jp

(ドバイには砂漠を4WDに乗って駆け回ったり、ラクダに乗ったりするアトラクションがあります)

 

4WDに乗ったが即、砂漠のデコボコ道を走る超スリリングなドライブへ…。いきなりベースノート系がガツンと香ります。

 

あらためて明かされている香料を見てみると、
レザー(合成香料)、ウッド(ベチバー)、アニマルノート(アンブロックス)、ムスク(ムセノン)とヴァニラアブソリュートが使われています。

衝撃的なトップが少し和らぐとバニラの匂いも若干してきますが、ツンデレ…と言うほどには甘く柔らかくなりません。相変わらずベチバーとレザーの車がブォンブォン音を立てて走っています。

 

はたしてこれが売れるドバイとは??

ドバイは巨大なハブ空港でもある(※エミレーツ航空のサービスは最高で、機内で良い匂いのするおしぼりを配ってくれます)ので、地元民のみならず世界中の人々が集まる都市ですが、観光土産に気軽に買うにはハードすぎると思います。

 

万人ウケするとかしないとか、このブログでもよく書いていますが、日本のみで話をすれば、これは万人どころか香水好きでもかなり人を選ぶのではないでしょうか。

セルジュ・ルタンスなどは独特のコンセプトがあり、個性的な香りであっても熱狂的なファンが世界中にいることが容易に想定されますが、一方のルラボはNY・都会的・シンプルなイメージのメゾンで、はたして客層のうちどれだけこの香りを楽しむ人がいるのか?もしかしたらドバイの人々の嗅覚(好む香り)は日本人とは全く異なるのか?と、己の見聞の狭さを思い知る限りです。昨今は各国のメゾンが中東向けの商品を開発していると聞きますので、もしかしたら中東には我々とは全く異なる嗅覚ワールドが広がっているのかもしれません(まあ、そもそもヨーロッパやアメリカで作られている香水を極東の私たちが楽しんでいるという状況自体、すごいことだとは思いますが…)。もしドバイに行く機会があれば、街に流れる空気の匂いを全力で感じてきたいと思います。