とある愛香家の日記

香水に対する偏愛ばかりを書き連ねております

PASSAGE D'ENFER パッサージュ ダンフェ (ラルチザン パフューム)

モン ニュメロ9を購入した際、「お客様にきっと似合われると思いますよ」と店員さんがサンプルをくれました。結論から言うと、超~~~好みの香りでしたので、ご紹介します。

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(パピオンもいただきました)

 

パッサージュ ダンフェ(PASSAGE D'ENFER)は「地獄通り」という意味。
その名前は、1970年代にラルチザン パフュームの本社があった通りの名称にオマージュを捧げているところから来ているそうです。

しかし全く「地獄」というような香りではありません。むしろ「天にも昇る心地よさ」「静寂と瞑想を表現するような香り」(公式より)です。

 

ラルチザンの中では、「ウッディ フローラル オリエンタル」の中に分類されています。
使われている香料:
ヘッドノート / ローズ、ジンジャー
ハートノート / インセンス、ユリの花、伽羅
ベースノート / サンダルウッド、シダーウッド、ベンゾイン、ホワイトムスク
調香:オリヴィア・ジャコベッティ

 

トップはローズ、ジンジャーとあります。ローズはあまり強く感じません。私はローズが苦手なのですが、ローズにありがちなツンとした匂いもありません。最初からインセンスは香っているように感じます。そこにジンジャーが効いて、印象的な出会い。

第一印象は・・・「教会の匂い!」
昔ヨーロッパを旅した時に巡った教会の数々を思い起こさせるような香りなのです。お香が焚き染められ、自分の足跡すら響いてしまうぐらい、静謐な空間。(教会は天井が高いので、音が響くんですよね。)
インセンスが使われてはいますが、日本のお寺の匂いではありません。

ミドルではユリの花が出てくるからか、やわらかみが出てきます。っていうか伽羅!超高級香料ではないですか!「本当に使われているんですか?香りのみならずお値段も素敵ですがそれでもコスト大丈夫なんですか?」と勝手に心配してしまいます。

ラストはサンダルウッドが出てきます。それもバーン!!と出てくるというよりは、奥の方から優しく出てくるような感じです。憎い、憎いよラルチザン…。その後、清々しいシダーも感じられます。

 

全体として、華やかな香り立ちというよりは、とても内省的な印象を受けました。自己主張のためではなく、自分のためのフレグランス。自分自身と向き合うような。

 

それにしても、ラルチザンの香りとの出会いはどうして毎回こんなに鮮烈なのでしょう。

Twitterのフォロワーさん達に「沼」と呼ばれる理由が、わかった気がします。

MON NUMÉRO 9 モン ニュメロ9(ラルチザン パフューム)

ラルチザン パフュームのモン ニュメロ9(MON NUMÉRO 9)を現品購入いたしましたのでご紹介します。

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twitterのフォロワーさんにお勧めいただき、百貨店で試したらあまりの良さにのけぞりそうになり、恋に落ちました。初めてのラルチザン。鮮烈な出会いです。
普段は手首につけてから30分~1時間ぐらいはショッピングなどしながら様子を見て、購入するか否か決めたりするのですが、これは家に帰ってきちんとラストまで嗅いで、日を改めて買いました。その場で衝動買いしなかっただけでも褒めてほしい…。(←結局買っていることに違いはないだろ、というツッコミはさておき)

 

ラルチザンでは、「シトラス アロマティック フローラル アンバリ―」に分類されています。つまり「もはやこの香水でひとつのジャンル」ということでしょうか。

レモンが使われてはいますが、個人的には、単なる「柑橘系」というくくりにはしたくない香りです。

ヘッドノート / レモン、コリアンダー、レモンプチグレン、カルダモン
ハートノート / シクラメンシソの葉、ターキッシュローズ
ベースノート / ミルラ、べチバー、パチュリ
調香師 / ベルトラン・ドゥショフール


最初はレモンが香りますが、綺麗なレモンジュースというよりはレモンピールの匂い。そしてレモンプチグレンのせいか、木や葉を感じ、しっかりした印象を受けます。そしてカルダモンがスパイシーさをさりげなく加えています。
※プチグレン=主にビターオレンジの枝や葉から抽出される香料。ここではレモンプチグレンとあるため、レモンの枝や葉から抽出されているものと考えられます(推測です)。

ミドルはシソの葉。トップの印象はそのままに、爽快な葉っぱの要素が強くなります。青臭くはないです。私はローズが苦手なのですが、幸いなことに(?)あまり感じません。

ラストはミドルから大きく変化しないように思えますが、かすかにパチュリを感じます。

 

モン ニュメロ9は単なる「軽くて爽やか」な香水ではありません。一本芯が通っている、しっかりした香り。

そんな香りなのに、コロンなんです。トワレとかパルファムではない。この事実を知った時、「くッ…これが【香りの職人】(=L'Artisan)ということかッ…!」となんだか憎い気持ちになりました。

 

Twitterのフォロワーさん達がラルチザンを「沼」と形容されていましたが…

…見事に落ちてしまった気がします。

 

<追記2018.1.16>

日本国内では廃盤になってしまいました。売れなかったのでしょうか…本国ではまだ取り扱いがあるようです。

本国公式サイトによれば、

シトラスだけでなく、意外性のある香料がともに立ち上がります。コンセプトは日本の温泉から漂う、元気が出てくるような香り。コロンも温泉も、感覚を目覚めさせてくれます。」

…って思いっきり日本の温泉がテーマじゃないですか!なのに国内廃盤にして良いんですか?と思いつつも、「大人の事情」もあるのだろうなと推察し、今回は筆を置くことにいたします。


<追記2018.5.23>

2018.6.20から再販になります。ボトルは黒いものから透明なものに変更になるとのことです。

ミストラル・パチュリ(アトリエ・コロン)

サンプルでいただきました。

タイプ:スパイシー マリン

【トップ】フロリダのポメロ、 マダガスカルのブラックペッパー、 中国のスターアニス
【ミドル】モロッコのイリス  ソマリアのインセンス、 エジプトのゼラニウム
【ラスト】インドネシアのパチュリ、 ラオスのベンゾイン、 ハイチのベチバー

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柑橘とパチュリの幸福なマリアージュ(ってよく食べ物を説明する時に使われる表現ですよね)。

 

パチュリと言えば、「墨汁の匂い」とよく表現されるようです。日本人には親しみやすい香りなのかもしれません。お店の人曰く、「全体を落ち着かせる働き」があります。音楽で言えば、私は低音をイメージします。下から優しく支えるような音。

 

最初はポメログレープフルーツと潮の香り。マリンに分類されるのはこのトップゆえかと思います。バックでパチュリが低音で鳴っています。

やがてパチュリがメインになります。おおらかな響き。イリスやゼラニウムのためか、フローラルのやわらかな含みがあります。

その後、ウッディーが少しずつ前に出てきます。インセンス(お香)とベンゾイン(アンソクコウノキの樹木に傷をつけてそこからにじみ出て固化した樹脂のこと)の働きでしょうか。…と思ったら、ウッディーが強くなる前にデクレッシェンドで香り全体が柔らかく消えていきます。

 

パチュリの香りは正直初めてだったのですが、とても好きになりました。墨汁の匂い…落ち着きます…。

マリン系も苦手だと思っていたのに、これは心地良く感じます。まさしく海辺の風。マリン系に限らず、他の香調に対しても、自分の中で「これは苦手」と固定観念を作り上げてしまっている可能性があり、食わず嫌い(嗅がず嫌い?)をせずに色々試してみてもいいのかもしれない、と感じました。

 

私の中でパチュリは音、それも低音のイメージがあったため、今回は少し音楽めいた書き方をしてみました。意味不明でわかりにくかったらすみません。

では、また。

Cactus Azul(カクタスアスール)とDarwin(ダーウィン)(FUEGUIA1833)

南米アルゼンチンのフレグランスメゾン、フエギア1833。

詩やタンゴ、また調香師の人生に影響を与えたパタゴニア大自然や歴史、文化、人物などがインスピレーションのもととなっています。

個性的で素晴らしい香りばかりとの噂は聞きつつも、日本では東京のフラッグシップストアでしか手に入らないので、関西在住の私としてはずっと憧れのメゾンでした。
それが今回、6月末まで京都の「セレクトショップ京」でポップアップストアをやっているというではありませんか!

というわけで、行ってきました。

 

東京の店舗同様、各香水瓶の上にフラスコが置いてあり、フラスコの中を嗅ぐことでそれぞれの香りを確かめることができます。

全部気になってしまい、店頭に置いてある27種類のオードトワレを片っ端から試していきました(笑)

確かに、どれも独特で個性的。なのにとっつきづらさはありません。どれも素晴らしいとしか言いようがないのです。
全体的に、甘味に特徴があるように感じました。いわゆる「甘い香り」が多いというわけではありません。そうではなく、それぞれの香りが持つ自然でさりげない甘みに、共通するカラーがある感じ。これがフエギアの色なのかしら、と思いました。

グリーンな香りにも特徴があります。ミントやバジルなどは他のメゾンも出しているでしょうが、サボテンの匂い、草原の匂いや干し草の匂いなどはあるでしょうか、いやきっと無い(反語)。

 

まずは27種類全て嗅ぎ、その中でも気になるものを選び出し、それらをまた嗅いで買うものを絞っていきました。

購入したのは、Cactus AzulとDarwinです。

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Cactus Azulはその名のとおりサボテンがテーマです。
・タイプ:Green
・香料:1.Cactus Flower,2.Cedar,3.Nanah Mint

Darwinは進化論の人がテーマ(多分)。
・タイプ:Wood,Spicy
・香料:1.Cedar,2.Vetiverm,3.Grapefruit

 

「フローラルで良いのはないかしら。グリーンとかウッディってそんなに得意じゃないのよね…」と思って行ったのに、最終的にこの2つになりました。他の香りもみな独特で個性的なのですが(フローラルも素敵なものばかりです!)、これらの香りは特に「フエギアでないと無い香りではないか」だと感じたからです(と、たいして知識もないフレグランス初心者が言ってみる)。

 

これらの香りの素晴らしさを皆様にお伝えしたいのですが、正直全く言葉が出てきません。

「どこかで嗅いだような香り」では全くないからです。


あえて書けることは、
Cactus Azulはトップがものすごく良いです。良いんですが、表現する言葉が見当たりません…。ミントはあまり主張しません。ミドルからシダーのノートが出てきます。私の肌では最高にシダー!という感じになります。
Darwinは最初はグレープフルーツ?と思いましたが、その後出てくるウッディが素晴らしいのです。乾いた木ではなく、独特の温かみがあるというか。どこかフルーティーですらある。ほっとして、心から安心できる香りです。私の肌に乗せると、スパイシーという印象は受けません。

いずれにせよ、「こんなグリーンやウッディな香りがあるなんて!」と目を見開く思いでした。

 

大切に大切に使いたいと思います。

グラン・ネロリ(アトリエ・コロン)

【トップ】モロッコネロリシチリアベルガモットパラグアイのプチグレン

【ミドル】ペルシャのガルバナム、スロベニアのオークモス、スカンジナビアのサンダルウッド
【ラスト】ムスク、バーニジアのセダーウッド、マダガスカルのバニラ
 
トップがかなり特徴的。スッキリ優しいネロリではなく、苦味やグリーンがどーん!と出てきます。さながら骨太ネロリというところでしょうか。「フェミニンでロマンティックな香り」と下記サイトの説明にはありますが、この部分ではあまりそのイメージはありません。(※後記:別の日につけたらあまり苦みは感じませんでした。体温や気温のせいでしょうか。)
これはプチグレンのなせる業でしょうか。プチグレンはオレンジの葉と木から取れる香料。時によっては少しウッディな印象も受けます。
そこから割とすぐに香りが変化し、優しいネロリの香りになります。ガルバナムは樹脂からなる香料で、サンダルウッドやオークモスもあってミドルがウッディー!な感じになるのかと思いきやそうではありませんでした。基本はネロリの香り。ベルガモットのためか、ジューシーさもあります。その奥でかすかにサンダルウッドが鳴っている…ぐらいの印象です。あくまでネロリを引き立たせるために他の香料が使われているように感じました。
最後はバニラもほんのり香りますが、甘ったるくなる訳ではなく、ここでもネロリが主役でそのまま柔らかく消えていく…という感じです。

 
アトリエ・コロンは柑橘系が特徴のブランドで、シトラスに限らずウッディやフローラル、オリエンタルなど様々なテイストのフレグランスがありますが、どれも柑橘系の要素が入っているとのこと。
コロンのフレッシュ感を保ちつつもオードパルファンのような持続力があるのが特徴です。コロンは飛びが早いし、トワレでもパルファンでも柑橘系の要素は早くに飛んでしまいますが、アトリエ・コロンの柑橘は持続します。
そして一口に柑橘系といっても、そのバリエーションは幅広いです。ムエットで色々と試香させてもらうのはとても楽しかったので、またお店に色々と嗅ぎに行きたいと思います。
 
公式サイトではありませんが色々と説明があるのでご参考までに:
各香料の原産地の記載があります。他のメーカーでもそうなのでしょうが、ひとつの香水が世界中から集められた香料で出来上がっていることがわかります。

苔清水(パルファン サトリ)

サンプル使用です。

http://parfum-satori.com/jp/collection/kokeshimizu.html

 

樹間を流れる清涼な水、石につく苔、若芽をテーマにした香り。

トップはシトラスから始まり、ミドルでグリーンなノート(ミュゲ、ジャスミン)に移っていき、最後はムスクとモス(苔)の香りへ。調べてみると、本当に苔から香料が取れるのですね。奥が深いです。

最初はシトラスを感じるのですが、その後グリーンなノートが出てくると「これは…まさしく清流の香りだ‼︎」と衝撃を受けます。苔の生えた、透明な清流の香り。

春のみずみずしさを表現しているとのことで、春の森の中で清らかな水に出会ったような気持ちになります。

MOTHER ROAD 66 (パルファン サトリ)

日本の自然をイメージした香りが多いパルファン サトリ。ところがこれはアメリカの有名な道路、ルート66をイメージしたものです。車で走る旅。
 

トップ:レモン、ベルガモット、マンダリン、ガルバナム、ブラックペッパー

ミドル:ローズマリー、ラベンダー、ローズウッド、クローブ、シアーフローラル
ラスト:ライトムスク、アンバー、モス、ウッディパウダリー
 
最初は意外とスモーキーかもしれません。ミドルになるとスッキリした気持ちの良い香りになります。これはローズマリーでしょうか。私の肌ではラストまでこのキリッとした香りが続きました。

ちなみに、Wikiによると、この国道66号線はすでに廃線になっているようです。
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国道66号線(こくどう66ごうせん、U.S. Route 66)は、アメリカ合衆国中東部のイリノイ州シカゴと、西部のカリフォルニア州サンタモニカを結んでいた、全長3,755km(2,347マイル)の旧国道。1926年指定。州間高速道路の発達によりその役目を終え、1985年廃線となった。
ルート66Route 66)とも呼ばれ、大陸を横断するこの道はアメリカ西部の発展を促進した重要な国道であり、映画や小説、音楽などの中に多く登場し、今なおアメリカのポップ・カルチャーの題材にされている。
(Wikipediaより)
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失われた旅路。ロマンを感じますね。